2021年2月9日火曜日

石に見られる

 

見た目は良くないが、全部ひすい(混じり)石(比重を基準にした場合)真ん中はロディン岩の可能性あり


海岸に行ってひすいを拾おうとすると、最初の頃は「透明でグリーン」な石を探してしまう。
よくブログやYouTubeに載っているような石が、みんなそんな感じだからだ。
”これなら私にも拾えるかもしれない”と思って、拾うのはたいてい緑色の石英(通称キツネ石)ばかりだ。
そんなに簡単に拾えるものではない。

「キツネ石」という石は存在しないし、名前も良くない。
なぜなら、別に緑色石英は人間をだまそうと思って、そうなったわけではないからだ。
(ただ、人間の認識が誤っているだけであり、石もキツネよばわりされる筋合いはない)

キツネ石と言われる緑色石英やチャートは実は珍しい石で、こんなのがポンポン拾える海岸は余りないという。
事実縄文時代には緑や赤のチャートが勾玉に加工されていた。
(だからキツネ石というだけで、駐車場の横に放置して行くのはやめた方が良い。せめて海岸に返してやろう)

キツネ石はひすいよりずっときれいである。
一方の翡翠原石は見た目がいびつで、いかにも汚く見える。
だから、きれいな石を探していると、いつまでたってもひすいは拾えない。透明な石はごくまれにしか見つからない。

よく、透明な石を(私もそうだが)ブログに載せたりしていらっしゃるけれども、透明なものは本当に僅かしかない。
1年に1回、いや数年に一度の幸運が訪れない限り、出会えない。
灰色のひすいに出会う事すらまれなのに、緑はほんとうに出会えない。

時たま、私ではなく、石の方が自分を見ているのではないか、という感覚に襲われる。
心に「欲望」「雑念」があると、たいてい大きな石英塊を拾ってくることになる。
また、どれだけ注意深く見ても、見つからないときは見つからない。

絶対ひすいだと思っていても、比重を計ってみれば足りないことがいくらでもある。
ひすいは見た目とは一致しない石なのかもしれない。

ひすいが混じった石は、まだ少しあると思う(それらは厳密にはひすいと言えない)。
だが圧倒的に多いのはそれ以外の石で、種類も多い。
本物のひすいに出会えるのは、幸運が重なった時だけで、まさに「めったにない」としか言いようがない。