2019年2月25日月曜日

北アルプス主稜線

白鳥山山頂より、朝日岳方面
白馬岳山頂より、日本海
白馬大雪渓から、小蓮華方面
唐松岳山頂小屋

北アルプス主稜線というのは、栂海新道の線を辿るとすると、「後立山連峰」の方になるのではないだろうか?
立山連峰や常念山脈は、主稜線から外れているようにも見える。
槍ヶ岳や穂高岳は主稜線に含まれる。
地図をたどってみると、この稜線は日本海から焼岳まで続いているように見える。そこで一旦切れて、乗鞍岳、御嶽山があり、木曽山脈、南アルプスに接続する。

いずれにせよ、3000m級の山々が連なる山脈が、直線距離で100kmそこそこで海になだれ込む。
天上界から地上世界が、とても近い。


世界でも比較できるところは、同じ島国であるニュージーランドのクック山(富士山ぐらいの高さがある)ぐらいではないか?

ここは世界自然遺産になっている。親不知周辺と同じく、ヒスイの産地だという。
ならば、親不知周辺も世界自然遺産にしてはどうだろうか?


日本は、こんなすばらしい自然のある場所だ。意外に認識されていないように思う。大切にしないといけない。

2019年2月23日土曜日

栂海新道の美しさ

尻高山、坂田峠、シキ割、白鳥山

日本海の水平線
「栂海新道」は、電気化学工業の故小野健氏を中心とした「さわがに山岳会」によって開かれた新しい道だ。
電気化学工業といえば、近くの青海黒姫山で石灰岩を採掘している会社だ。
”デンカ生コン”はセメントの大手。なるほど、全山が石灰岩で出来ているので、原材料は豊富にあり、水力発電を使って加工すれば、効率は良いわけだ。
ここの職場でたぬき汁を食べながら立ち上がったのが、「さわがに山岳会」だという。
(頚城三山を縦走していた時に、大量のさわがにに遭遇し、泡を吹いて登っている様子が「自分たちにそっくり」ということで、さわがにの名が付いたらしい。今は「ベニズワイガニ山岳会」に名称変更されたそうだ)
他の山岳会が海外へ遠征するなどする中、「自分たちにできることはないだろうか」、と考えられて、当時道のなかった天険親不知と朝日岳間の27kmに登山道を作ることを発願された、という。向かいの青海黒姫山から見たこの稜線が殊の外美しく、ここに登山道があれば、すばらしいと思われたそうだ。
最初は全くの「私道」としてスタートし、林野庁から国有林の盗伐の疑いをかけられ、逮捕されかかったり、苦難の連続だったという。
詳しくは『栂海新道を拓く 夢の縦走路にかけた青春 山岳叢書 を読んで頂くと良いと思う。

さわがに山岳会のメンバーの方達は、「近代アルピニズムの追求」とか「パイオニアワーク」とかの追求に魅力を感じられなかったそうだ(十分にその実力をお持ちの方達ばかりだった、と思うが)。
それよりも自分たちの測量技術や藪刈りの技術を利用して、新たな登山道を作ることは出来るのではないか、と思い立たれたそうだ。

これは今思えば実に先進的な考え方で、何も高い山に登るだけが登山ではなく、たとえ低山であっても「その中の自然と触れ合うこと」ということが、登山の大きな魅力であることを、身をもって示されたのだ。

栂海新道はすぐそばに海があり、そこに直接北アルプスが落ち込むという、すばらしい立地だ。これだけの場所は、世界を探しても珍しいのではないだろうか?
親不知は「西日本と東日本をくっきり分ける境界線」になっており、山姥伝説のある秘境でもある。
まさに、人間世界が神仏の領域と直接接する、特異な場所である。

こんな海の近い場所なのにカモシカまでいる。文字どおり、奥山がそのまま、人間の領域に顔を出しているのである。

この場所に登山道を拓くとは、実に素晴らしいことを考えられたものである。事実、この道はその後登山者の憧れの道となり、多くの人が歩くことになった。
海抜0mから、直接後立山連峰を縦走できるのである。そんな登山道はどこにも無い。ただし、非常にアップダウンがあり、体力と根性の要求される厳しい道であることだけは、忘れないようにしなければならない。

山の下は国道、高速道路、最近では新幹線まで通っている。ここの地形のあまりの険しさに全てトンネルの中ではあるが。
北陸地方の人間はここを通らないと、東日本には安易に行けない。後は安房峠を越えるか、木曽路を通るか、名古屋から東海道を通るかするしかない。いずれも北陸地方の人間にとっては非常に不便である。
昔の人は親不知の海岸を命がけで歩くか、白鳥山の横を通るかして、向こう側に出たのである。いずれにせよ、この地域を通過するために、大変な苦労をしたのである。

私がこの場所を愛するのは、ここに来るとなぜか「新たな展開」があるからだ。
不思議と、この場所を訪れた後は、身辺の状況が変わってしまったりする。
良い意味でも、悪い意味でも、ではあるけれども。


2019年2月22日金曜日

入道山 海抜0mから雪の栂海新道 踏み抜き地獄 オールドレンズとともに

晴れていたので、雪の無さそうな「栂海新道」を歩いてみることにした。
しかし実際には雪が1mほどもあり、踏み抜きに次ぐ踏み抜き。
「行けたら、尻高山まで行きたい」と思ったがとんでもない。
ルートはわかりにくく、GPSを確認しながらゆっくりと歩みを進める。
「雪がないだろう」という甘い読みをしていたため、スパッツを未装着。
登山靴の中が雪だらけになって、大変だった。
(実はこの入道山、積雪期以外は藪の中に山頂があり、栂海新道は山頂を通っていない。)

今日は「Canon FD 50mm」というオールドレンズをDMC-GF2に着けて持って行ったため、75mm中望遠単焦点の写真である。

天険親不知海岸へ降りて、ここから出発!

波がやや荒く、登山靴が海水に浸りそうになる。

親不知観光ホテル向かいの栂海新道入り口から

ここから白馬岳を目指す人もいる。登山者憧れの道の一つだということは、登山を始めてから知った。

500mほど歩くと、登山道に雪が出てきた。ずっとこんなものだろう、と思っていた(とんでもない誤り)

急登で、膝丈までの雪になってきたが、スパッツを取りに行くには遅すぎた。422mピークのところまで来ると、1m近い積雪がある。海岸から1kmほどしか離れていない。

目指す入道山。実はきちんとした山名のある、北アルプス最北端の山なのだ。

ルートをGPSで探しながら、なんとか分岐まで。ここから山頂を目指す。

山頂着。正面に白鳥山のシキ割。

上路集落。こっちから登ったほうが良かったのか。しかし雪が深い。多分除雪されていないだろう。

うっすらと白鳥山の山頂付近が見える。今日みたいな日は、雪崩れるかもしれない。

コーヒーを飲んで、下山開始。この辺りの山は海が目の前だ。大好きな風景です。

サルノコシカケ

赤松

青海黒姫山も見えてきた。

雪、山、海。ここはすべて揃っている。

親不知インター付近。北アルプスがそのまま海に落ち込んでいる。

人家の屋根が見えてきた。

この辺りは、結構痩せた尾根もある。注意。

一番急な場所にある、朴木に生えたコシアブラ。折らないように注意してください、と書いてあった。

鉄塔のところに無事帰還。いやー今日は踏み抜きが大変だった。帰ってこれてよかった。

ところどころに標識があり、助かる。

ふう。なんとか降りてこられた。

駐車場の前の看板。本当に崖の途中にある。

帰りは宮崎海岸まで来て、「たから温泉」という温泉に入ってみた。ここのお湯はいいわ。今まで入った中で1、2を争う気持ちよさ。泉質は雨飾温泉に似ていると思った。

2019年2月19日火曜日

雪崩 雪は重いのだ


雪は水の凍ったものだ。豪雪地帯に住む人は皆、「雪の重さ」を知っている。
私にはむかし大雪が降って屋根に登って除雪した時、ふとした拍子に上の雪が滑ってきて、足に乗った経験がある。
びくともしなかった。
スコップで掘り起こし、ようやく足を抜いたが、あの時感じた「重さ」は、今でも鮮明に覚えている。すこし滑るだけで、屋根全体が動くほどの重み。もし勢い良く滑ってきて、まともに受ければ、体は骨まで砕かれるであろう。
無理もない。「水1㎥の重さが、1t」というのが目安だとすれば、
10㎥の重さは、約10tもの重さになる。車10台分である。
しかし、雪には隙間があるので、50%の重さだと考えても、5t。
ほんの屋根ほどの広さでも、これだけの重さがあるのだ。

木曽駒ヶ岳の千畳敷カールの広さは、数十万㎡ある。これに1mの積雪があったとしたら、数十万tの重さがかかっていることになる。
ほんの一部が雪崩て来ただけでも、人間など、ひとたまりもないのが分かるだろう。

「地理院地図」では、面積を計測できるので、実際に計算してみると良い。
また、この地図は「雪崩危険斜面」を表示する機能があるので、確認しておくと良いだろう。







2019年2月18日月曜日

6年目のザック

いつも使用しているザック。
MAMUUT CREON LIGHT 45L(グリーン)
購入してから6年経って、だいぶ経年劣化が進んできた。
ヤブや岩にひっかけて出来た傷、ストレッチ素材のポケットがぶよぶよ。
チェスト・ベルトが破損したので、替えのベルトを加工して取り付けてある。

このザックで、夏も冬も、気合を入れて行く山はすべて登ってきた。
今じゃ、このザックを使っている人を見かけなくなった。昔はけっこう使っている人がいたのになあ。

汗かきなので、メッシュ構造の背板は空気の通りが良く、とても重宝している。
帰ってきたら、丸ごと水をぶっかけて洗う。

バックルの部分は基本的に丈夫だ。しかし去年の三方崩山の時に、バラバラに壊れてしまった。



結構物が入るけれども、テント泊はきついと思う。実際一度もテント泊をしたことはない。小屋泊まりの縦走をするときはいいだろうと思うが、基本日帰りなので。

ザックは穴があかない限り、使えると思う。ウエストやチェストベルトがなくても、ショルダー部分がある限り、背負える。
命を預ける道具なので、壊れるとすぐに不安に陥って買い換えたくなるが、機能を果たす限り、多少の傷や痛みは、気にしないで良いのだ、と思っている。

マムートのザックはとても良いと思う。今度買うときも、多分マムートにすると思う。



2019年2月17日日曜日

今年は危ない 一目瞭然 遭難も多発



昨年2月の気温グラフ(高山市)

今年の2月、これまでの気温グラフ
群馬の武尊山、湯沢のかぐらスキー場(苗場山エリア)、小谷村(白馬エリア)、富士山、宝剣岳(木曽駒ヶ岳エリア)‥と、遭難が多発している。
これは山で何かが起こっているに違いない。


一目瞭然だが、今年の2月は最高気温と最低気温の変化率が大きい(グラフは高山市のもの)。
グラフが大きく波打っている。気温差は去年と変わらないが、全体的に気温が高い。
1ヶ月ほど、季節が早いような感じだ。去年は2月後半でないと10度を超えなかったが、今年は2月の前半で既に10度に達している。

これでは、雪が凍りつくのも致し方ない。

やはり、今安易に山に入ってはいけないのだ。

気象庁のホームページの画像を加工して使用しました。)

雪崩 嫌な予感

2月5日、野谷橋から妙法山に至る尾根を撮影。よく見ると雪崩がいたる所で発生しているのが分かる。

「週明けにでもどこかに行きたい」と思っていたのだが、どうも嫌な予感がする。
こういう時は行かないのが吉。

白馬方面、谷川岳、乗鞍方面の情報を収集してみると、どれも「硬い雪の上に、新雪が積もっている」というものが多いように感じられる。

木曽駒ヶ岳でもこの状況のようで、宝剣岳では滑落により何人かが亡くなられている。
また、湯沢、白馬でも亡くなった方が出ている。

要するに、2月前半の気温が高い状態の後、冷え込んで雪が凍結し、その上にまた新雪が積もっている状況のようで、最近の極端な気温上下が影響しているのは明らかだ。

「樹林帯ラッセル、その上は新雪の下に凍結層があり、アイゼンをかけていても滑る」という状況なら、BCスキーヤーはともかく、登山するような状況には無い。

もう少し状況が良くなるのを待つしか無い。
今年は特に異常な気象だ。まず山に雪が無い。地球温暖化の影響で、非常に読み難い。
春と厳冬期を繰り返すような山に、入る勇気は無い。

ここは行きたい気持ちをなんとか抑えるしかない。

2019年2月5日火曜日

猪臥山 今年も2月はここ 猪年

近年は毎年登っている「猪臥山」。
今日は気温の上昇が予想されたため、朝早く(6時台)に出発。
山頂到着が8時過ぎであった。
気温零下5.8度。今の時期にしては、非常に気温が高いと思う。
朝8時なので、まだ天候が回復していなかった。しかし雪質は固く、登りやすかった。
朝日に照らされる山頂。祠のところで休憩して、ゆっくり山頂を目指す。
昨年に比べると、かなり雪が少ない山頂。
さあ、これからがこの山の登山(下山?)だ。どのルートから降りることも可能だが、下手をすると、とても急坂になる(今回もなってしまった)
尾根の北側。山の名前は同定できない。
郡上とか荘川村の方面だろうか?
全く沈まないスノーシュー。しかし、ツボ足だと少し不安。
雪庇の傍を歩く。
雪庇ギリギリ。
だいぶ降りてきた。天候が回復してきた。
1460mピークに登り返したところから、猪臥山。今回はこのピークはトラバースしない。去年ひどい目にあった。
1460mピークは、無名の山らしいが、何か名前があるといいね。「前猪臥山」と勝手に名付ける。
ここから急激な斜面を下る。
トレースに従わず、尾根伝いに下りていく。最後は60度ぐらいの坂になっていた。やはり少し間違っていた。彦谷を渡渉して、元の道に復帰。
帰り道、「野谷荘司山」を撮影。雪崩の跡がたくさん。今の時期ここに登る自信は無い。この間会ったバックカントリーの人は、ここを滑ると言っていたなあ。私は登る勇気すら無い。なんでこんなに白いのか、考えたら、登れない。要するに、雪が多いのだ。