ヒスイを探していると必ず間違えると言ってもよい「ロディン岩」と「ひすい」。
岩石学辞典の解説によれば、ロディン岩の正式名称はロディンジャイトと言い、カルシウム石榴石、透輝石、ヴェスヴィアナイトなどのカルシウム成分(石灰岩は炭酸カルシウム)を含む岩石で、蛇紋岩の中に小岩脈として生成する(ヒスイも蛇紋岩の中に生成する)。ロディンの名は、ニュージーランドのダン山のロディン川に由来する。
これは単鉱物質ヒスイ輝石岩とは全く異なる科学的組成であるが、ヒスイと非常によく似ており、見分けるのは容易ではない。
インターネット上で「ひすい」であるとして転売されている石の中には、少なからずこれや、先に紹介したキツネ石が混じっているものと思われる。
ひすい拾った!やったーと書いてあるページを見ると、蛇紋石やこのロディン岩ではないか?と思うような石がたまにある(このブログで過去に紹介した石の中にも、少なからずある(笑))。
見分けるのが難しい理由として、ヒスイと比重がほとんど変わらない、同じような場所から生成するために、外観や質感が非常に紛らわしく、光も綺麗に通すので、相当慣れた人でも判別に苦労すると思われる。
また、表面にきらきらした結晶がある場合が多い。
ヒスイの特徴を持ちながら、ヒスイでない石なのである。しかも、本物のヒスイ輝石を一部含むこともあるために、さらに判別を困難にしている。
フォッサマグナミュージアムで見てもらって、確実にひすいだ、としてもラベルをよく見れば「ひすいを含んだ岩石」「ひすい輝石岩」と書いてあるであろう。これは、ひすいの含有量にまで言及していない。ロディン岩とひすいは同じような場所から出る石であるために、専門家にもおそらく正確な判別は困難なのであろう、と想像する。
表面がざらざらしていて、絵の具のような緑色がべったり付いている、と形容されるが、それもあてにならない。あまり研磨されていないひすいだと、表面がザラザラしていることもあるからだ。
あえて言えば、ヒスイは非常に上品な、内にこもったような光を持っているように見えるに対し、ロディン岩は表面的な光具合であることだろうか?
私もまだ判別については、あまり自信がない。
まだまだ、判別眼を鍛える必要がある。
ロディン岩自体は、悪い石ではない。数も少なく、きれいな石も多い。十分鑑賞に足りる石である。