2019年10月19日土曜日

キツネ石も美しい

キツネ石は「ひすいに似ていて、だまされて拾ってしまう」ことから、名付けられた名前。キツネ石という鉱物は存在しないが、大抵が緑色の石英のような気がする。
これ以外にも、ロディン岩(ロジン岩)というひすいの風化したような鉱物が存在し、どちらもあまり喜ばれない。
例えば、クロダイ釣りをしていて、ボラが釣れたとか、そういう感覚で言われる。

しかし、鉱物に関してはこの概念はあまり当たらない、と思う。
緑石英の美しいものはクリソプレーズ(緑玉髄)と言われ、宝石扱いである。
また、石英や玉髄は光を通すとたいてい黄色になるにもかかわらず、中には純白の光を放つものもある。これはとても美しいものだ。

ひすいは確かに美しいし、靭性もあるから丈夫な石で割れたりしないだろう。
ただ、それだけで過大な評価を受けている一面はないだろうか?
キツネ石と言われる緑色の石英質の石は、実はひすいよりもずっと透過光が美しいのだ。
特に緑色の石英は。
石英は地殻の約90%を占める、どこにでもある鉱物である。
公園の泥、河原の砂もほとんどが石英質だろう。
しかしながら、その結晶である玉髄や水晶は、非常にきれいなものである。
また、濃い緑色の石英は、海岸以外ではなかなか拾えないものである。
捨てるだけではなく、鑑賞してみてはどうだろうか?

私は「美しさ」というのはその質的な価値以上の何かであると思うのだ。

緑色の石英たち。表面の大きな結晶、比重の軽さ、質感などからそれとわかるが、ひすい探しを始めた頃は、これらをひすいであるとおもってしまう。また、ロジン岩という非常によく似た鉱物もある。しかしながら、これらの鉱物が美しくない、ということは全くない。むしろひすいより美しいものがある。

緑の脈の入る石英だと思われる(曹長石かもしれない)。

表面に何らかの鉱物が付着している(透閃石だと思われる。下の黒い鉱物はおそらく角閃石であろう)。

もう一つの石と並べてみる。質感は同じ。しかし中に走る緑の脈は非常に美しい(曹長石だろうか)。

光を透過させてみる。全体にさわやかで美しい緑が広がる。

純白の石に光を透過させてみると、石全体が純白の光に包まれる。これは石英だ。もしかしたら、水晶に近いものなのかも。

大波の中、命がけで拾った緑石英(笑)。全体が濃い緑色。透過光はどんなひすいよりも美しい。

先ほどの石英(曹長石?)を別の角度から透過させてみる。全体に広がる緑色。

何かの鉱物に覆われていた石も、光をあてると全体が美しい緑色につつまれる。これをキツネ石だといって捨てるなんて、もったいない。

別の石の透過光。やはり緑石英は鑑賞に足りる良い石です(曹長石だったらこの部分はひすいかもしれない)。