2023年7月27日木曜日

暑くて登山どころじゃない

 

気象庁 アメダスの画像を加工して使用

本日27日正午の気温。
全国のほとんどの地域で30度以上になっている。
今まで、これほどの高温が連続した7月というのは記憶にない。とても異常な事態だと思う。

平地で仮に35度だとすれば、単純計算で標高1000mで29度、2000mで23度、3000mで17度ということになるが、実際は直射日光の影響もあり、体感温度はもっと高い。
標高1000m前後の山は、たぶん登ると熱中症になる危険性が極めて高い。
2000mぐらいでも、この気温で運動をすればかなりの汗をかき、脱水になる可能性がある。
登山で快適な温度はおよそ15度前後だと思う。ということは3000m前後の山が良いのだが、そこに行くまでが暑く、かなり体力を削られた上で空気も薄いということになれば、予期せぬ体調不良が起こったりする。
第一、日本の山岳で標高3000mを超える山がいくつあるだろうか?

ということで、最近の気温では登山はお勧めできない。

2023年7月25日火曜日

毒のある鉱物


人類が鉱物を利用し始めてから長い時間が経過するが、後世になるにつれ「重金属」を利用することが多くなってきた。
最初はたぶん、石器などに「黒曜石」(天然のガラスだ)を利用したり、それこそ威信財としての「ひすい」を利用する程度だったと思われる。
そのうちに「砂金」を見出し、その稀少性を利用して「経済社会」を構築するまでになった。
また「鉄」を武器として使用するようになり、大規模な戦争も起るようになった。
このように、人類はどうも「重金属」を利用するようになってきた辺りから、いろいろな問題を抱えるようになってきたのである。
なので、重金属を含む鉱物を目の前にすると、複雑な気持ちになる。

石英に含まれる銅の鉱物。人体にとって有害な物質である。

「重金属(比重4以上の金属)」は、人類にとって有用なものである一方、「毒物」でもある。
このような金属を含む鉱床は、日本にもたくさんあるが、多くは「スカルン鉱床」である。
これは石灰岩の大規模な塊に花崗岩のマグマが接触した時、それに含まれる酸性の熱水により重金属が集まることによってできる。石灰岩は熱によって大理石に変性する。
集まるものは、金、銀、銅、鉛、亜鉛、鉄などの重金属。そしてそれと同時にヒ素、カドミウム、水銀などの人体にとって極めて有害な物質も集積する。

それらの金属の需要が増した奈良時代や、戦国時代、さらに明治から終戦後までの間、日本でもこれらの金属が採掘されていた。
当時は公害に対する意識が存在せず、金属を精錬したカスの中に含まれていた有害物質は、そのまま川に流されたりしていた。

明治時代以降になってようやく、これらの有害物質が環境や人体に及ぼす悪影響が認識されるようになってきた。
有名なのが、足尾銅山の公害、神岡鉱山から出たカドミウムによるイタイイタイ病、ヒ素による土呂久の公害、有機水銀による水俣病などである。

神岡鉱山の場合、現在和佐保堆積場という大規模な鉱滓ダムが作られてその中に有害なカドミウムなどが堆積されている。


ここには以前数回訪れたことがあるが、一面灰色の沼のようになっている。
排水の中の有害な物質を吸着させるために、石灰が使われているようである。
草も生えておらず、異様な雰囲気であった。

神岡鉱山は飛騨片麻岩に含まれる石灰岩を、船津花崗岩の中に含まれる熱水が交代したスカルン鉱床であり、方鉛鉱、閃亜鉛鉱などを産し、主に亜鉛、鉛を採掘していた。
イタイイタイ病の問題があって以降、閉山している。

カドミウムは腎臓や肝臓を侵し、その結果カルシウムが体外に排出され、深刻な骨粗しょう症を起こす。富山には長年この病に苦しんでいる人がいた。
科学者と医師による調査の結果、神岡鉱山の排出する鉱滓に原因があることが判明し、鉱山側は敗訴した。

以上のように、重金属は人間にとって欠くことのできない重要な物質である一方、非常に強い毒性を持つ物質でもある。

人類の発展は、このような二面性の中にあるのである。

2023年7月20日木曜日

自然な山は良い

 



先日の「鉢伏山」は良かった。久しぶりの有峰であったし、最近どちらかと言うと整備が行き届いた山ばかりに登っていたからだ。
有峰は富山県の中でも、特に豊かな自然が体感できる場所である、と思っている。
(対して立山方面は、あまりにも開発がされすぎている)
よく整備された里山は確かに歩きやすい。登山道も整備されている。
また、深い山であっても、北アルプスのように何から何まで完備している場所もある。
(そして多くの登山者と共に、追い立てられるように登ることになる。。。)
鉢伏山に行く道は、確かに以前と違って有料の林道でアクセスできるようにはなってはいる。
しかし一旦横の「深い山」に踏み入れば、豊かな自然が出迎えてくれる。
このような場所を訪れる者は、名山を踏破する目的がある人か、よほどの好事家ぐらいしかいないかもしれない。
当然のごとく、単独で山に入ることになる。

一番いいのは、草が生えていることだ。たしかに登山道は不明瞭になるし、道迷いの危険もそれに伴って高くなるだろう。
だが、きれいに草刈りがされ、木道、階段、鎖、丁寧な場合は石畳まである山は、どこか不自然である。
そもそも「山」とは、人跡未踏の深山幽谷の趣がある場所ではないだろうか?

鉢伏山はかつて亀谷鉱山の重要な坑口がいくつもあり、かなり人の手が入った山であった。しかし大正時代に操業を停止すると、そのまま放置された。
それから100年以上も経過すると、自然は元の姿に戻っている。

人間が見捨てて顧みなくなると、まるで傷口をふさぐように、雑草が生い茂り、木々が生え、昆虫が跋扈する。
これこそが山の「ほんとうの姿」ではないだろうか?
そして、それを体験するために、私はわざわざ山に登るのではないだろうか?

登山は「遊歩道」の延長ではなくて、未整備の環境の中に身を置くこと。
それによって、不思議なエネルギーを頂くことができる。
忘れかけていた「登山する意義」を、今回改めて感じられたような気がした。

私は「つくりもの」は嫌いである。なぜならどれだけ巧妙に似せて作ったとしても、それは「そのもの」ではないからだ。
人間の技巧、技術を否定するわけではないが、それらばかりある環境の中にいると、なぜかひどく疲れてしまうのだ。

2023年7月19日水曜日

鉢伏山(1782m) 夏しか開通しない有峰林道小口川線より

 「富山の百山」になっている、有峰の鉢伏山に登って来た。
2020年に登った鍬崎山の兄弟分とも言える山であるが、登れる時期が残雪期の亀谷からか、7月に有峰林道小口川線が開通してからしかなく、なかなか行けない山だ。
気温が高く、湿度も高かったが、チャレンジしてみることにした。

歩行距離は往復7キロ余り、標高差900mほど、とそれほどきつい山だとは考えられなかったが、実際に登ってみると大違いだった。

まず、最初は崩れかけた登山道にトラロープがかかっている急登を200mぐらい登る。
ここが、今まで経験した道の中でも1,2を争うほどの難しさであった。
ザレていて、泥があり、しかも草が生い茂って足場がよく確認できない。
何度も崖側に滑り落ちそうになりながら登る。
先日の小白木峰の堰堤付近のトラバース道によく似ており、しかも急登だ。

登山道が崩壊している箇所があるが、トラロープが張ってあり、辛うじて通過できる

急登を超えると、少し緩やかになり、亀谷登山口への分岐に出る。亀谷登山道は現在通れるのかどうかわからない。廃道になりつつあるという話も聞く。
ここを通過すると、鉱山精錬カス堆積場に出る。
この山には昔、銀、亜鉛、鉛などを産する鉱山があり、その選鉱ズリが残っている。
この場所には鉱毒の影響なのか、草が生えない。
すこし石を調べると、多くは磁硫鉄鉱で中にはマラカイトのようなグリーンも見える。
アダム鉱のような「ヒ素」鉱物も混じっているように見えた。
ここにあった亜鉛鉱山は大正時代まで操業していたという。
亀谷鉱山の一部であり、歴史は古い。
神岡鉱山と同じ「スカルン鉱床」で、石灰岩を交代している。

選鉱場後のズリ。草が生えないということは、毒があるね

さらに進むと、入り組んだ沢のような場所に出る。
だんだん藪が深くなってきて、道が分からない。何回も赤テープ、ピンクテープ、GPSを確認しながら、迷わないように慎重に進む。
水たまりから湧いたと思われるアブ、蚊、ぶよの攻撃が激しい。
時々藪漕ぎする場面も出てくる。
雨が降れば、この道は濁流になるだろう。

ピンクテープを確認しながら、時々藪の中に入る

単独行のため、しかも携帯電話不感地帯なので、緊張する。ここでビバークすることは絶対に避けたい。
草刈りはされているものの、あまり明瞭な道ではない。
この後何度もルートが分からなくなりかける。
迷路地帯を抜けると、鞍部までいったん下る。


だいぶ眺望が効くようになってきた。常願寺川が見える

稜線に出るまで、数か所ロープ地帯があるが、たいしたことはない。それよりもだんだん藪が濃くなってきて、うっすらと残る踏み跡を頼りに前進する。稜線は日が照ってきて暑くなってくる。


うっすらある踏み跡

何回かピークを越えて、いよいよ山頂に至る。
山頂は広く、広場のようなものもあるが、ガスの為、眺望は利かなかった。


山頂にある岩

クマに攻撃されてぼろぼろになっている山頂標識


登る前はもっとゆるい山だと思っていた。
しかし、秘境有峰にある山だ、ということをもっと考慮すべきだった。
今の時期、藪が登山道を覆っており、ルートが分かりにくい。
さらに限られた期間しか登れない山であることを考えれば、慎重に準備すべきであったと思う。今回はやや軽率であった。

2023年7月6日木曜日

地球が凍った時代

画像:Wikipedia commonsより

 かつて約22億2千万年前,約7億年前,約6億5千万年前の少なくとも3回、地球が全面的に凍結し、3000mもの氷河におおわれた、という仮説がある。
これが「スノーボールアース仮説」と言われるものだが、発表された当時はそんなことはありえない、とされ大論争になったという。

しかし現在では、氷河堆積物が当時の赤道付近に位置した地層にあること、縞状鉄鉱層がこの時代に形成されていること、などから、全球凍結説はおおかた支持されている。

  全球凍結時代の氷河堆積物 By Qfl247, CC BY-SA 3.0

全球凍結時代が終了すると、大気と海水が接触し、大気中の酸素と無酸素状態の海水の中の黒色の酸化第一鉄が結びついて赤い酸化第二鉄の層を形成した、という。これがこの時代に縞状鉄鉱層が形成された原因であり、「全球凍結」という出来事が実際に起こった証拠だ、と論じられる。

先日採取した黒い「正珪石」は、もしかしたら全球凍結の時代、酸素が乏しい海水に含まれていた「酸化第一鉄」の黒色なのだろうか?
約7億年前、大気と海は分厚い氷で分断されていたのだ。



6億年前の地球環境がどうなっていたか、興味の尽きないところではある。
しかし人類が初めて地球上に登場したのが500万年前に過ぎないので、その120倍も昔の話である。
たかだか2000年前に意識がはっきりした人類に、正確なことは分からないであろう。

ただ、どんな激しい気候変動が起ころうとも、生命の鎖は途切れることなく続いてきた、ということは確かだ。
なぜなら、私は今生きているからだ。
古い石を手に取り、そんな思いに駆られた。

2023年7月4日火曜日

医王山鳶岩 黒瀑山 滑る

梅雨真っ盛りだが、前回と同じ医王山へ。
蒸し蒸しする暑さの中、鳶岩へ。金沢のジャンダルム、なんて言われるけど、それほど足掛かりが乏しいわけでもなく、立派な鎖もある。しかしつるつると滑る岩。
危険極まりない。
余りの暑さで、予想以上に心拍数が上がり、3回も休憩した。
歳と共に体力の衰えが進んでいることを実感。
帰りは未踏の「黒瀑山」に登ってみた。涼しい尾根道で快適であったが、山頂は眺望無し。

堂辻より梯子坂を下り、豊吉川渡渉地点。沢の流れが涼しく爽快

かにのよこばい。沢の横をへつる。ぬめぬめしているが、鎖が新しくなっており、進みやすかった

鳶岩登りの背中坂。ここも鎖が新しくなっており、登りやすい。しかし30度近い気温の中、なかなかピッチが上がらない

鳶岩に登る。ここは鎖がない。きもち滑る程度

板状節理になっている。赤い石はチャートかジャスパーだろう

ここを登る。滑るので危険。登らないことをお勧めする

たまに抜けてくる岩がある

鳶岩最先端部

下りて先端部分

板状節理の構造が良くわかる

鳶岩みたいな岩が2,3か所ある

鳶峰から登って来たコースを振り返る

帰りは豊吉川へ直接下る道がある

合流点に帰還

河床はスラブ状になっており滑りやすい

鳶岩コースの概観。とても斜度がきついことがお分かりになられるだろうか?

帰りに黒瀑山に登って来た

法林寺温泉に寄って汗を流して帰った。ここは硫黄泉で源泉かけ流しだ。いいお湯なのでお勧めである。