2021年2月19日金曜日

透明な石は、ほとんどひすいでない

ひすいに透明な石はほとんどない。
透明なのは、何か他の要素が混じっているから、そうなのだと思われる。
混じっている要素として考えられるのは、石英とかソーダ沸石とか長石とか珪灰石とか、いろいろ考えられる。
それらの要素は、比重が軽く、全体の比重を計ることで容易に判別することが出来る。

アルキメデスが金の王冠の比重を計った故事を思い出すと良いであろう。
純金の比重は19.32ほどもあるが、にせものの王冠はそれより比重が低かったため、アルキメデスは破壊せずに王冠が偽物であることがわかったのである。 

結晶があり、美しい緑のスポットもあり、美しい光を通す。
誰が見ても、宝石質のひすいに見えるだろう。
しかし、これの比重は2.9。質の良いひすい輝石である、ということは出来ない。
したがって、残念ながら宝石質のひすいではない。

透明だからと言って、質が良いとは限らないのだ。実際にこの石は割れている。

緑の部分は美しく光を通す。形も、結晶も、ひすいにしか見えない。しかし比重は2.8。
曹長岩である、ということになる。

光を通すと美しく、ひすいだと思うであろう。結晶もある。しかし比重は2.5。これだけ軽いということは、曹長岩ですらなく、石英の混じった岩石である。

このように透明な石が必ずひすいであるということはない。
むしろ石英であることがほとんどである。
ひすい輝石を含んだ岩石は、概して見かけが悪く、普通の石ころより醜く見える。

透明な石がひすいでないと言っているのではないが、実際にはほぼそういう石は見つからない、ということを言いたいのである。
そんなことはない、と思うなら実際に海岸を歩いてみると良い。
拾うのは、おそらく石英ばかりであろう。