2020年10月26日月曜日

蛇紋石(サーペンティン)

蛇紋石は、かんらん岩(マントルを構成する岩石)が風化してできた超アルカリ性岩である。
元はかなり深い所から出てきた石で、ひすいを地下から押し上げた石でもある。
よく、「蛇紋岩あるところにひすいあり」と言われるのは、ひすいが蛇紋岩メランジュ(蛇紋岩がいろいろな鉱物を取り込んでできた岩石)に含まれるからである。
実際、蛇紋岩と一体になった形で出るひすいも存在する。

蛇紋石は蛇紋岩を構成する主な鉱物で、これが繊維状になったものがクリソタイル(石綿)である。
マグネシウム、鉄、ケイ酸から成る。
クロム、マンガン、コバルト、ニッケルなどが微量に含まれている場合がある。この影響で、蛇紋岩そのものは植物に対して有毒な場合がある。

ほとんどの蛇紋石は比重が軽く(2.2から2.9)柔らかく(モース硬度2.5から4)酸に弱い。
色は白、緑、黒など。
比較的硬いものをボウェナイトと言い、装飾品として利用する。
翡翠によく似ており、「蘇州翡翠」「ニュージェイド」などの名で、翡翠として売られていることもあるが、硬玉ヒスイとは全くの別物である。

ひすい輝石岩との違いは、比重が軽い、やわらかい、傷がつきやすい以外に、「磁石に付く」ことで判断できる。これは石に磁鉄鉱を含むためであり、蛇紋石を判断する決め手となる。

海岸にはかなり落ちているが、きれいな石もたまにある。
ただ、磨いたり切ったりすると、この石の成分が石綿と同じなので健康に悪いかもしれない(石綿とは結晶の形が違うので問題ない、とも言われている)

柔らかいため、加工しやすく、インドやヨーロッパなどでは昔から利用されてきたようである。
ひすい輝石が中国で尊ばれるにすぎない石であるのに対して、蛇紋石のほうはもっと広い範囲で利用されていたようだ。
確かに、緑色は一定の美しさを持っている。

 

蛇紋石。これも表面に細かい結晶が見えるため、ひすいと紛らわしい
光を通してみれば、美しいグリーンだ。ひすいと間違えられやすいのも、もっともだ。