太田胃散とひすい。一体何の関係があるのか、と訝られるかもしれないが、実は成分が似ている。
結論から言えば、太田胃散に含まれる「合成ケイ酸アルミニウム」とひすい輝石の分子構造は、ほんの僅かしか違わない。
ケイ酸アルミニウムは
ひすい輝石は
NaAlSi2O6
{\displaystyle {\ce {Al2SiO5}}}
何とケイ酸アルミニウムにナトリウム分子一個を加え、アルミ一個を減らし、ケイ素1個、酸素1個を加えると、ひすいになるのだ!
ケイ酸アルミニウムは藍晶石、珪線石などの成分である。
胃酸を抑える作用があるので、胃薬に添加されることが多い。
これがひすい輝石と、ほとんど変わらない分子構造を持っているなんて、かなり意外だったので、書いてみた。
まあ、もともとはそれほどありふれた物質だということだ。
良く知られているように、ダイヤモンドは炭素の結晶であり、サファイヤは酸化アルミニウムの結晶である。
宝石なんていうものは、もともと、それほど御大層なものではないのだ。