出典情報https://www.gsj.jp/geology/geology-japan/geology-japan/index.html国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センター「日本列島の地質と構造」より引用(政府標準利用規約第2号に基づく)上記産業技術総研の地質地図でも分かるように、糸魚川地区は「飛騨外縁帯」ではなく、「舞鶴帯」「秋吉帯」の地盤の上にある。
つまり、大陸から分離した「飛騨帯」に、舞鶴や山口を構成している地盤が付加されたのである。「秋吉帯」はプレートに乗って南方の海から上がって来た地盤だと言われる。
「飛騨帯」は大陸の岩盤なので、20億年ぐらいの歴史を持っているに対し、「舞鶴帯」などは、2億年ぐらいの岩盤である。
「秋吉帯」は石灰岩を含む岩盤で、これは大量の生物の死骸を起源とする炭酸カルシウムから出来上がっている。
青海黒姫山は純度98%という、非常に高純度の炭酸カルシウムで出来上がった山であり、どれほどの生物の死骸から成り立っているか、想像もつかないほどだ。
もとは巨大なサンゴ礁か、生物の死骸で出来た地盤だったと思われる。
これは、近くにある明星山と同じ組成である。
ペルム紀は地球上の生命の95%以上が絶滅したといわれる「ペルム紀大量絶滅」が起こった時代である。このとき多量に死んだ生物やサンゴが、これらの山を作っているのであろう。
しかし地球上のほとんどの生命が死ぬほどの環境変化とは、どれほど凄まじいものだったのだろうか?
ひすい輝石が出るのは、これらの石灰岩で出来た山の麓である。小滝も橋立も、共に石灰岩の山の麓である。
つまり、ひすいの生成にこれらの生物が何らかの形で関わっているのではないだろうか?
ひすいの生成に、熱水鉱床が関わっているのではないか、という説がある。
ひすい輝石が「超高圧・低温」という特殊な環境で生まれたことは、実験的には証明されているが、それがどうやって地表に運ばれたのかは定かでない。
熱水噴出口の周りでは硝酸イオンで生きる細菌やチューブワーム、二枚貝、エビなどが生活しており、これらが大群落を作っていたために石灰岩が残っているという考え方も可能だろう。
その時に地下から出てきたひすいの元が、鉱床に蓄積して、後に南の海から日本付近に押し上げられた時に、大きい圧力で変成作用を受けてひすいになったのかもしれない。
この説が正しいとすれば、それらはプレート沈み込み帯の最深部から直接上がって来たのではなく、熱水によって押し上げられたことになる。
日本の地質がどのようにして今のような形になったのかは、諸説紛々としており、未だに決着をみていない。
ともかく、数億年という、気の遠くなるような長い時間をかけて地球が運動し、たまたまそれが宝石を作ったり、我々の生活を支えている物質を生み出したりしたのである。
最近は地震が多く、地盤が活発に運動しているのだなあ、と実感出来る機会が多い。
願わくば、あまり激しく動いて欲しくはないけれども、動く時は動くのである。
いつどのような災害が襲いかかってくるかは、全く予想もつかないのだ。
特に日本では。