2019年6月30日日曜日

竜護の尾根は天然の盆栽

まるで盆栽 2019/06/18 竜護の尾根を下る
糸魚川真柏は盆栽の世界では特別の存在である。
明星山の断崖に張り付いており、昭和58年に下ろされた木は実に樹齢二千年のものであったという。
「イトイガワ」の名で世界にも通用するほど有名である。枯死した部分は「神」と言われ、生と死を表現するものとして珍重される。
その希少性から乱獲され、今ではほとんど見ることができなくなったという。
もちろん、現在ではこの地域は天然記念物の指定地であり、ユネスコ世界ジオパークの中であるから、どんな動植物も傷つけてはならないのは常識だ。

先日明星山の竜護の尾根を下りていた時に、枯死した五葉松のような植物をたくさん目にしたが、これは真柏とは違うだろう。
それでも、石灰岩の中にある白い枯木は非常に美しく、まるで天然の盆栽の中を歩いている錯覚におそわれた。

盆栽はその狭い空間の中に大自然を表現するものだと思う。
しかし、直接この中に身を置くのとは、だいぶ違う。
いちばんいいのは、自然そのものなのだが、人間はこのような風景に常に憧れを抱く。
身近にいつも鑑賞したくなる気持ちも理解出来る。


2019年6月29日土曜日

石灰岩の中の化石

先日海岸で拾ってきた石灰岩らしき石の中に、化石のようなものがあるように見えた。
「ウミユリ」っぽく見える。これの周りの粒々は、サンゴの残骸のようにも見える。
(よく見ると三葉虫のしっぽのようにも見える。蛇腹状になっているので)
いずれにせよ、3億年ぐらい昔の生き物の姿だ。
私たちの遠いご先祖だと思うと、不思議な気持ちになった。



2019年6月28日金曜日

ジオまる ぬーな 糸魚川のどこでも見かけるゆるキャラ

糸魚川市に出かけると、どこでも見かけるマスコットキャラクターの「ジオまる」と「ぬーな」。
ジオまるは「地球」をイメージしており、ヒスイの勾玉が眉間に。
「ぬーな」は『古事記』に出てくる「奴奈川姫」をイメージしている。手には勾玉を持っているが、青海黒姫山登山口の案内板では手にアンモナイトの化石を持っている。
「黒姫山」の「黒姫」とはたしか「奴奈川姫」の事ではなかっただろうか?
最近、よく出かけるので慣れてしまったが、最初の頃は「なんだろう?」と思っていた。
緑色で「糸魚川」と書かれているのは、多分ヒスイの色をイメージしているのだろう。
非営利目的で使う場合は、申請不要だそうです。

小滝川ヒスイ峡の案内板には「ジオまる」がいます。

青海黒姫山の案内板には両方書かれています。「ぬーな」は手にアンモナイトを持っており、「ジオまる」は登山装備で金木平付近を通過中です(笑)

明星山頂の祠と善光寺地震

山頂付近にある祠の現状。以前の写真では2つあった祠のうちの一つが倒壊していた。 2019/06/18

明星山の山頂の祠は、祠の横に刻まれた文字によれば、弘化4年(1847年)5月23日に建立された。

弘化4年はこの地方を「善光寺地震(旧暦の3月24日に発生。太陽暦で5月8日)」が襲った年であり、同年の3月29日(太陽暦5月13日)には越後高田で誘発地震が起こって20名の死者が出ている。

この祠が建ったのは、この大きな地震が起こった2ヶ月後、つまり現在の暦で7月頃だということになる。

マグニチュード7.4程度の直下型地震であり、震源は長野の善光寺平であった。
山崩れ土砂崩れが4万カ所以上、家屋全壊2万軒以上、死者が8600人強という、凄まじい被害を出したのである。
糸魚川地区はこの時、震度4ぐらいだったと推定される。
周辺の藩は松代藩に救援物資を送ったりして助けたが、松代藩の財政難は幕末まで解消しなかったと言われる。

この年に、この祠が建立されたのは、この善光寺地震に関係があるのではないだろうか?
地震の直後に建立されたということは、当時の人々の切実なる思いと、祈りの反映なのではないだろうか?。

この地域で起こった直下型の地震としては、2004年に発生した新潟県中越地震が記憶に新しい。

フォッサマグナの西側の縁である糸魚川静岡構造線の上にあり、先日発生した山形県沖の震源に繋がる日本海東縁変動帯の上にあるこの地域では、昔から度々地震の被害を受けていたのであろう。

今の日本では、いつどこで発生してもおかしくない(地震学者のロバートゲラー氏の談)のであるから、常に備えをしておくべきだ。

この祠に由来を考えるにつけ、その感を新たにしたような気がした。


祠の横に書かれている文字は「壽(ことぶき) 弘化四年丁未(ひのとひつじ)五月廿三日(23日)」と読める。


おととい拾ったヒスイ

おととい、帰り道少し海岸へ寄って、拾ったヒスイ。
あんまり透明ではない。もちろん商品価値なんて無い。
灰色で、少し緑の入ったものだけど、こういう色合いが私はナチュラルで好きである。

「白、黒、淡い緑」

約5億年前に生まれ、自然の気まぐれの中で、海の波に何千年も磨かれ、ピカピカになった石。
割れもあるし、ヒビも入っている。そしていろんな物質が無秩序に混入し、純粋では無いけど、力強い。見ているだけでエネルギーが充填される。

よく考えてみれば、我々も、38億年前に生まれた生命を体の中に保存している。
長い間、磨かれ、鍛えられ、生き残って来た遺伝子である。

皆、美しい。
しかし、それに気がつく人は少ない。

日常の生活そのものが、長い長い生命の歴史の連続なのだ。

灰色ヒスイの特徴である黒い石墨のラインの間に、アップルグリーン(ロディン岩かもしれない)

一部濃い緑も見える

これは以前に拾った、小指の先よりも小さい緑色のヒスイ。こんなのよりは、いろんな色が混じってた方が、私は好きである。

透過性も良く、きれいな緑色なんだけどな。味気ない。

2019年6月26日水曜日

小滝川ひすい峡から明星山を見上げる

先週行ってきた明星山の麓に、今日はおばさんの案内をして行ってきた。
「どこか素晴らしい景色の場所はないか?」と言われて、真っ先に浮かんだのは「日本のスイス」といわれる高浪の池のある、「小滝川ヒスイ峡ジオパーク」であった。

「このブログは、糸魚川ばっかりじゃない」と思われるかもしれない。
しかし、糸魚川の自然の魅力は本物である。これほど変化に富んだ、面白い場所はそうそう無い。

高浪の池に到着。とても澄んだ、美しい池だ。水深18mあるという。石灰岩の窪みに水が溜まっているのだと思う。もちろん水源は湧水だ。

この池に住むと言われる「ナミタロウ」のモニュメント。4mぐらいある。

高浪の池で蕎麦を食べたあと、ヒスイ峡へ向かう。途中の「フィッシングパーク」から明星山。あの山に先週登ったのだ、と言ったら驚かれた。別にロッククライミングで登ったわけではない、裏側は登れるのだ、と言っても、なかなか信じてもらえなかった。

ヒスイ峡到着。400mあるという垂直の壁と、巨大ヒスイの転石。

ここの護岸は「学習護岸」になっており、石ができた時代ごとに護岸の石が並べられている。

岸壁には、ここ特産の「糸魚川真柏(イトイガワシンパク)」が張り付いている。別名「糸魚川柏槇(イトイガワビャクシン)」。盆栽になる、非常に貴重なヒノキの一種である。

先週ここから登ろうとした「サカサ沢」。かなり急登だったんだな。

山頂付近を見上げる。上から見ると、この岩場は全く見えない。


数々のクライマーを育てた壁。山野井泰史氏は16歳の時にこの壁をフリーソロで登ったという。天才にしかできない技だと思った。

ヒスイ転石のすぐそばまで岩を伝って行ってみた。とにかく大きな石である。これらの石は監視カメラで監視されており、盗掘者から守られている。ここは国の天然記念物に指定されているので、小石一つ拾っても罰せられる。

沢の流れが涼風を運んでくるので、大変気持ちいい。

帰り道、高浪の池の上の展望台から。おばさんにも大変満足して頂けたので、良かった。

2019年6月23日日曜日

絶滅した生物フズリナ



約3億年前、この化石のような、糸巻きみたいな生物が大繁栄していた。この生き物は、単細胞で、しかも石灰質の殻を持っていたというのだ。およそ1億年に亘って繁栄していたが、生物の90%以上が絶滅したという「ペルム紀大量絶滅」によって、あっというまに絶滅してしまった。

青海黒姫山や明星山を構成する、秋吉帯の石灰岩岩盤にはこの「フズリナ」という生物の化石が含まれている。
つまり、これらの山はこの時代の地盤である、ということになる。

それにしても、3億年とはなんと遠い昔であることよ。
人類の最初の祖先が誕生してから、まだ500万年ほどしか経っていない。

この地盤が作られたのは、その60倍ほども昔のことだ。
それが、今地表に現れて、人間によってコンクリート、肥料やらボンド、コークスや薬やゴムの原料として使われている。

現在からすると、このようななんとも表現しがたい奇妙な生物や、大昔の珊瑚礁が巨大な山を作るほど繁栄していた時代があったなんて、とても想像もできないだろう。

もしかすると、ずっと遠い将来に、未来の生物によって人間の化石が発見されて、「こんな奇妙な生物が繁栄していた時代があったなんて、信じられない」と言われる日が来るのだろうか?

大地は、小さな人間の脳では考えられないほどの記憶を刻んでいる。

明星山の竜護の尾根を作っているひび割れた石灰岩。ところどころ白いのは、サンゴの化石なんだろうか? 2019/06/18




2019年6月20日木曜日

須沢海岸 ツートンカラーが幻想的だった

手前は姫川の濁流で濁り、水平線はコバルトブルーの2色。幻想的な光景だったな。2019/06/18

明星山の帰り道、ヒスイ探しに寄った須沢海岸だったが、波が高すぎて恐ろしく、しかも大潮で海岸が狭かった。収穫は全くなし。早々に引き上げた。
しかし、沖が澄んでいるのに、手前は濁っていて、ちょっとばかり幻想的な絶景だった。姫川は先日の大雨で濁っていたのだが、その濁りが真っ白というか、乳白色というか、とても美しい色の濁りだった。
この濁り具合もここならではの絶景なのかもしれない。
大抵、川が濁るときは、茶色の、土色の濁流なのだが、ここは白いんだよ!
もっと写真とってくればよかったな。
非常に美しい光景だった。

同じ日に明星山の上から見た姫川河口付近。沖は澄んでいるが、手前は白濁。

糸魚川周辺の山は生命で躍動している

一昨日の地震はかなり強い地震であった。
被害に遭われた方も多数おられる。お見舞い申し上げます。

この場所は、まさにユーラシアプレートが北米プレートの下に沈む場所なのだ(現時点では衝突の域を出ていないとされる)。どこで地震が起こってもおかしくない。
日本海東縁変動帯の線の真上にあり、地震が起こりやすい場所である。
日本列島はプレートの歪みが集中している場所であり、いつどこで起こってもおかしくないのではあるが、特にこの近辺は地震の確率が高い。大きな被害を出した中越地震は記憶に新しい。

このような特殊な環境の影響であろうか、地形の変化が激しく、そこにいろいろな生物が躍動しているのもこの地域の特徴だ。
岩だらけの高山もそれなりの魅力があるが、このような場所の方が、むしろ「山」と呼ぶにふさわしいのではないだろうか?。

最近この地域ばかりに出かけるのは、ここに来ると山と海のエネルギーを同時に頂けるからである。
一回の山行で、身も心も癒される、素晴らしい場所であると思っている。しばらくはこの稀に見る美しい場所の周辺の山を散策してみようかな、と考えている。

高浪の池を、明星山頂付近から見下ろす。この池にはナミタロウ(2-3mあるという巨大魚)の伝説がある。この場所は下から見ると断崖絶壁の上。ロッククライミングのコースは、ちょうどこの真下にある。

竜護の尾根の途中にある、石灰岩が侵食された底知れぬ穴。冷たい風が出ており、気持ち良い。

竜護の尾根から、青海黒姫山方向。この方向に、日本で一番深い白蓮洞などの鍾乳洞が存在する。また、水が地中に吸い込まれているというマイコミ平などもある。マイコミ平の周辺では、1000mにも満たない標高なのに高山植物が生育しているという。保護のために人間の立ち入りが厳しく制限されており、年間200名程度しか入れない。ちなみに今年は災害のため、一般公開は中止されたそうだ。比較的狭いエリアなのだが、非常に自然が濃厚な場所だ。

頸城駒ヶ岳、鬼ヶ面山、鋸岳、奥は活火山で今も噴煙を上げる新潟焼山だ。この特異な山々の形を初めて見たとき、すごく驚いたものだ。こんな形の山々は、幾つものプレートが集中するここだけにしかないのではないだろうか?

朝日岳に向かってまっすぐ伸びる尾根。急に標高が上がっている様子がわかる。

Google Earthでこの周辺の立体図を作ってみた。黒姫山と明星山はもともと一体だったのではないか?何億年もの時間をかけて、石灰岩が溶けていったのかもしれない、などと想像を逞しくしてみる。

2019年6月18日火曜日

山形で地震発生 地震雲を撮っていた



今朝、奇妙な雲が出ていた。
あまりにも変な形の雲なので、思わず撮影してしまった。
北陸道(E8)有磯海PAで、午前4時ごろ撮影。
地震雲って、本当にあるのか?
今まで信じていなかった。

明星山 ロストワールド ドロドロの冷気吹き出す水の山

先日、青海黒姫山の山頂から明星山を見て、次回は是非行きたいと思っていたが、今日実現した。最初小滝川ヒスイ峽経由で行こうとしたが、土砂崩れ情報があったので、急遽、岡集落コースに変更。

しかし、この山は見た目よりずっときつかった。
まずは約90分の林道歩き。林道に車が入れないために、徒歩で行くしかない。

そして登山口から急登が始まるのだが、これがまた青海黒姫山以上にドロドロなのだ。
この山も全山石灰岩の山で、至る所から出水し、沢が多い。
登山道は何回も沢の渡渉を強いられる。
また、土砂崩れも多く、一部高巻きのルートになっているが、ドロドロの崖になっており、危険だ。登山靴は一瞬でドロドロになる。
まるで飛越新道のようだ。長靴で登山するのもありかと思う。

そして、ルートがわかりにくいために、GPSは必須だ。沢を登る箇所、渡渉する箇所では、ルートを見失う可能性がある(実際、何回か迷った)
また、雨の後などでは、沢を渡渉することができなくなるかもしれない。

ドリーネ地形の窪地が多く、アップダウンも激しい。
鍾乳洞があるのか、常に冷気が吹き出しており、雪渓の残る箇所も多い。
ここにしかいない動物や、2000m以上で見られるような高山植物もある。
不思議な世界である。

山頂に連なる「竜護の尾根」は、石灰岩のヤセ尾根であり、かなり傾斜があり、滑りやすいので、落ちると大事故につながる。

以上のような理由から、この山は標高以上に難易度が高く、初心者向けでは無い。
山頂までは4時間かかる、と思った方が良い。

最初はこのような林道を1時間30分、登山口に向かって歩く。

道の途中から見たターゲット

海谷山塊が異様な姿をはっきり現す
登山口につく、ここまで90分かかる

分かりにくいルートと、滑りやすい急登。先が思いやられる

今の時期、標高1000m足らずの山に、なぜ雪渓があるのだろう?

ギンリョウソウの大群落は初めて見た

非常に硬い雪渓だ。もう少し時期が早ければ、アイゼンは必須だろう。

オゼマイマイだと思われる。こんなカタツムリは見たことがない。この山には、ここにしかいないムラヤママイマイというめずらしいカタツムリが生息する。会っていたのかもしれないが、写真には収められず。

シラネアオイ

石灰岩の落石

最初は岡コースからの直登ルートで登ってきた
山頂着。3時間30分かかった。


栂海新道から、白馬岳の稜線が目の前だ。すばらしかった

まだ真っ白な北アルプス

山頂を後にし、展望台へ。途中に祠があった。

展望台からは、360度の景観だ。




この間登った青海黒姫山だ

しばらく佇んで、今度は「竜護の尾根」経由で下山することにしてみた

むちゃくちゃ急な下りだ。岩稜歩きに慣れていない人は、危険を感じるだろう。

尾根を降りると、沢を渡渉して、岡ルートに復帰

こんな沢を5、6回は渡渉しなければならない。ルートを間違えると大変なことになる。ピンクテープを見失わないように

甘露の水。唯一の水場だ。とてもおいしい水だった。

林道に戻り、明星山を振り返る。見かけ以上にきつい山だった。

帰り道、須沢海岸へ寄って、定番のヒスイ探しをしてきた。

前日の嵐のせいで、水は濁り、大波が来ていて危険だった。早々に切り上げて、帰途に着いた。