2021年3月8日月曜日

簡易分光器でひすいの透過光を分光

 スペクトラルビューワー(iPhoneのアプリ)

簡単にだいたいのスペクトルを計測できるものがないか、と探していると、上のようなアプリがあった。

早速、ひすいの透過光を計測してみる。

必要なものは、CD-Rの古いもの。これを回折格子(かいせつこうし)として使う。iPhoneのカメラに反射膜を取り除いたCDを固定すればOK。

CDROMには1600nmの幅で溝がある(1mmに625本)。これが光を分光させる回折条数となっているため、分光が発生するという。

古いCDを切る。切り口は非常に鋭いので、けがをしないように注意。

セロファンテープを保護面に張り付け、はがすとアルミの反射膜がはぐれてくる。これをiPhoneのレンズに角度を調整してセットすれば準備完了。

上記スペクトラルビューワーを起動し、cameraで黒い領域に発光試料を合わせて撮影し、graphを表示させると上記のようになる。
これは透過の良いひすいの透過光を分光してみたもの。

plotすると上記の分光グラフが得られる。600nm付近に山がある。

別のひすいで試してみる。スケールは調整可能。

これはネフライトの分光。

曹長岩の分光

青系ひすいの分光

もっと試料を増やさないと正確には言えないと思うが、ひすいの透過光にはあるパターンが存在することがなんとなく見えるような気がする。
この特徴は、誰かが言っていたような気がするが、独特の青色を持つ、ということだ。
感覚ではなく、分光分析によって特徴がわかることが確認できた。

今回試みたのは、研究室などで行われる赤外線や紫外線やX線によるものではないので、正確ではないが、大体のパターンが目にみえるのはありがたい。
可視光に基づいている、ということは人間の肉眼で確認できる差異である、ということである。

※ 追記
『魏志倭人伝』などで、ひすいが「青玉」と書かれ、「緑玉」や「碧玉」などと書かれない理由は、ひすいが強い青色成分を持つ石だからではないだろうか?
見た目は白に近い色でも、緑色でも、ひすいは青色を含んでいる石のような気がする。
この青色が他の石との違いなのではないか?
青は人間の目に対して、強いエネルギーを持つ。
長い間青い光を直接見ると、目にダメージを受ける。いわゆるブルーライトである(高エネルギー可視光線)。
スマホなどもこの光を発するので、最近何かと問題にされてもいる。
この光は人間の精神や睡眠リズムに関係するとされており、昔の人はその事を感覚で理解していたのではないだろうか?
ひすいはこのブルーライトを発する石なのではないだろうか?
ひすいが他の石と違う魅力を持つ石だと考えられてきた理由も、ここら辺にあるような気がしないでもない。