若い時なら「どれだけ速く登れるか」を競っても良い。
なぜなら、体力がそれだけあるし、脚力もそれだけのスピードに耐えられるだけあるからだ。
おまけに若いときは回復が早い。くたくたに疲れ切っていても、一晩眠ればまた歩ける。
しかし50歳を越えるようになってくると、体力が落ちてくるのが手に取るようにわかる。
判断力もそれに伴うように落ちてくる。
若い時なら撤退を判断できたような状況でも、なぜか強行したりするようになる。
山岳遭難のほとんどを60歳以上の登山者が占めるというデータをみれば、この傾向は明らかである。
歳をとると、自分の体力を十分に認識できなくなっている人が多いことが分かる。
「まだまだ、若い者には負けないよ」と、頑張っている人がおられるのはわかる。
しかし年をとると、どうしても体力が落ちてくる事実をしっかり認識したほうが良い。
『山と高原地図』に載っている「標準コースタイム」は
1.40から50歳の登山経験者
2.2,3人のパーティー
3.山小屋泊装備
4.夏山の晴天時
を想定して計算されている。
たとえば、この間登ってきた「薬師岳」の場合、12時間40分。
少々遅いように思えるが、後から考えると、これぐらいの時間で歩けば一番よいだろうな、と思える。
私は12時間。標準タイムより40分ほど速く歩いていたことになる。
実感としてやはり、すこし無理がかかっているのが分かる。
しかしながら中には6時間台で往復する人もいる。
YAMAPで日帰りしている人のタイムを見てみると、8時間から9時間が大半のようだ。標準コースタイムの七割ほどの時間である。ほぼ、競歩のようなスピードでないと、このタイムで往復は無理だろう。普通の人が参考にしてはいけないペースであることは、明らかである。
彼らがどのくらいの年齢なのかは分からない。記録から年齢は分からないからである。
私は登山者であり、トレイルランナーではないので、なるべく標準コースタイムに近い登山が出来ればよい登山だった、と自己評価できるのだが、この間の登山はやや速すぎたようだ。今度行くときは、山小屋に泊まってゆっくりして登りたい。
「標準コースタイムが一番無理なく登れるペースである」
このペースに近づけるように努力しよう。