2020年8月29日土曜日

薬師如来とは医師のことである

 

夜明け前の薬師岳 2020/8/20

チベットの薬師曼荼羅 世界に3部しか完全なセットが存在しない『四部医典タンカ』の一つで、富山県の伝統医学研究所が所蔵しているもの。

チベットの伝統医学を解説した本

薬師如来は正式な名前を「薬師瑠璃光如来」と言う。かなり古い歴史を持つ仏教の如来である。
如来とは、仏陀の別名であり、本尊として祭られ、崇拝される存在である。
「瑠璃光」とは、以前にも書いたように、ラピスラズリの青い光の事である。
そのため、薬師如来のお姿は例外なく青色で描かれている。

「瑠璃色の地球」という歌があったように、青は地球の色である。
それは混じりけの無い深い青、ちょうど高い所の空の色である。

薬師如来はすべての病を静め、青空のように晴らしてくださる存在である。

薬師如来は悟りを開いて仏になる前に、以下のような12の誓いを立てた。
これを実現したために、仏となることが出来たのである。
その誓いとは

1.光明普照(自らの光で三千世界を照らし、あまねく衆生を悟りに導く。)
2.随意成弁(仏教七宝の一つである瑠璃の光を通じて仏性を目覚めさせる。)
3.施無尽仏(仏性を持つ者たちが悟りを得るために欲する、あらゆる物品を施す。)
4.安心大乗(世の外道を正し、衆生を仏道へと導く。)
5.具戒清浄(戒律を破ってしまった者をも戒律を守れるよう援ける。)
6.諸根具足(生まれつきの障碍・病気・身体的苦痛を癒やす。)
7.除病安楽(困窮や苦悩を除き払えるよう援ける。)
8.転女得仏(成仏するために男性への転生を望む女性を援ける(女性は成仏出来ない、と考えられていた。歴史的成仏観であり、古代インド人の思考を反映するにすぎない。実際には、男や女の区別を超越しているのが、仏である))
9.安心正見(一切の精神的苦痛や煩悩を浄化できるよう援ける。)
10.苦悩解脱(重圧に苦しむ衆生が解き放たれるべく援ける。)
11.飲食安楽(著しい餓えと渇きに晒された衆生の苦しみを取り除く。)
12.美衣満足(困窮して寒さや虫刺されに悩まされる衆生に衣類を施す。)

というものである。
薬師如来に祈れば、これらの願いを聞き届けてくださる、という。

薬師如来はチベットでも信仰され、チベット医学はまさに薬師如来への信仰によって体系づけられている。

富山県にある薬師岳は、ふもとの有峰の村に住んでいた「ミザの松」という、籠の担荷作りの木こりの枕元に、ある日薬師如来が立たれ、それによって開山された、という事になっている。

薬師とは医者の事である。
医師は我々の病気を取り除き、救ってくださる存在である。
生きている薬師如来そのものである。

新型コロナウイルスも、多くの薬師如来方の活躍によって撲滅されるだろう。
われわれは祈るしかない。