北アルプス。現在も封鎖中のままだ |
緊急事態宣言が解除されてから、徐々に人出が戻りつつあるように思うが、以前とは様子が全く違ってしまった。
車は走っているが、以前の7割ぐらいだろうか。
街は「臨時休業」の看板や張り紙が目立つ。
公共の駐車場、道の駅もまだ完全に開放していない。
2か月ほどの間に経営破綻した会社も多いという。
以前とはガラッと変わってしまった世界を見て、信じられない思いである。
人間の社会は本当にもろいものだ、ということが分かった。
今までは当たり前である、と思っていたものが、当たり前ではなかった。
ずいぶん贅沢をしてきた。ないものは何でも手に入ると思い込んでいた。
一方の大自然は、以前と何も違わない。この季節になれば新緑が山を覆い、花は咲き、虫が飛ぶ。
海岸に転がる石ころも、別に形を変えるわけでもなく、転がっている。
普段私たちは「変化するもの」に心を奪われすぎ、「やりかたを変えず、淡々と生きている存在」を見失っていたのではないだろうか?
珍しいもの、価値のあるもの、美しいものを求め、新しいものを求め、生活をより安楽にしようと思ってギリギリの努力をし、自分を痛めつけ、自然を破壊し続けていたのではないだろうか?
それらの行いを全部やめなければならない状況になって、「変わらない存在」に少しだけ気が付いたのではないだろうか?少なくとも私はそう思った。
もう以前のように何の不足もない生活は送れないかもしれない。
しかし、考えてみれば日本人の生活を支えている物資は、海外の安い人件費で生産されたものだった。
それを輸入して生活していたのである。別にそれを日本で作っていたわけではなかった。
これからどんな時代が来るのか、想像もつかないが、以前の生活には戻れないような気がする。
まだまだ、どこも自粛が続いている。
気のゆるみは再び感染拡大を招く恐れがある。