2019年11月15日金曜日

YAMAPの有料化について

※ YAMAPは2020年10月5日をもって退会しました。
やっぱり、面倒くさくなってしまいました。
何をするにしても、マイペースを乱されそうになった時が、辞め時かな、とは思っています。


私は登山系SNS自体はあまり好きではない。
しかしYAMAPは、今年4月に荒島岳でたまたま会った方が使われており、その方にご挨拶する目的でいちおうアカウントを取得したものが残っているのである。

なので基本的に登山系SNSは使わない方針なのだが、たまに使っている。
実際使ってみると、YAMAPの場合、ヤマレコよりもコンセプトが良いような気がする。

YAMAPの「注目の活動日記」は、単にアクセス数や「いいね」の数だけで掲載されるわけではなく、運営側の基準によって選ばれているようだ。危険な山行や、無理な山行は掲載されていないように見える。
これは従来の「目立てば良い」という無謀な山行に対する抑止力になっていると思う。
その他、様々な改善点が見られ、総合的に見て優秀なサービスであると思う。
そのせいか、最近山で会う方はたいていYAMAPに記録を保存されているようだ。
また、ダウンロードできる登山用の地図が優秀であり、標準コースタイムも表示されるため、計画するときに便利である。

ただ、YAMAPを使用するためには「スマートフォン」が必須であり、極寒の雪山などでは使えないと思う。
夏の低山から高山では、他に比較対象がないぐらい、良いと思うけれども。
贅沢を言えば、あと警察と連携した「登山届」がYAMAPから提出できるようになれば、ほぼ完璧だと思われる。

このたび、140万ダウンロードされたというこのアプリが有料化されるということだ。
理由はYAMAPの従業員が50人を超え、そろそろ安定した経営基盤を築きたいということらしい。

無料会員の場合、地図のダウンロードは5つまで、写真は1記録につき50枚までに制限される。
私はこれでも全く問題が無いのだが、本格的に100名山を制覇したい、という方々にとっては、有料プランに加入するしか選択肢がなくなるだろう。

そもそも、登山系SNSは山登りをする人に便利なサービスを提供し、その対価を得る、という目的で立ち上げられたものだと思う。ゆえに有料化は全く問題がない。さらに便利なサービスを提供すれば良いわけであるから。

ただ、それとは別に、私は「山に登る」ということが本来そんなことなのかな?と思う部分も正直なところ、ある。

たしかに便利な文明の利器を利用し山に登ればある程度事故も防げるし、道迷いもしないだろう。
だが、私たちが持っている「野生の勘」とか「自分の力」は、それらを使うことによって、使わなくなってしまうのではないか、とも思っている。

山に行けば大自然と直接対峙することになる。そのため、神経は張り詰め、研ぎ澄まされ、どんな小さなことに対しても注意深くなる。
そういう感覚を、このようなサービスのない昔は、山でよく味わったものだ。
それがなくなってしまうことは、残念な気もする。

しかしながら、どんなにITが進んでも、クマが直前に迫ってきていることや、最近崩れた登山道、他の登山者が不注意で落とした落石などまで、教えてくれるわけがないのだ。
だから今でも、遭難者は絶えないのである。

また、山に登る人を「客」として扱い、利益を上げようという考え方自体、あまり気持ちの良いものではない。
山は、本来神聖な場所ではないのか。神社や寺と同じ、聖域であるはずである。

それを利益の対象とする行為に対して、なんとなく不快感があるのである。
大自然を、直接商品にしているような気がするからである。