2019年7月8日月曜日

マダニの知識 梅雨で山に入れないので

※ 閲覧注意・シュルツェマダニ

明星山の沢 2019/06/18
梅雨時期の真っ只中で、ここ1週間は雨の降らない日はない。この先もスッキリ晴れる日は無いので、こういう時期は山についていろいろ知識を深めておくのも良いだろう。

先月、明星山に登った時に久しぶりに「アイツ」に出会った。「アイツ」というのはマダニのことである。幸い、服に付いていただけで、噛まれることは無かった。

かなり以前のことになるが、富山の大倉山でマダニに噛まれ、病院でミノマイシンという抗生物質を貰うはめになったことがある。
この時は、まだ4月だったと思う。私を噛んだダニはシュルツェ・マダニというやつだ。
このダニは、主に北アルプスや北海道などの寒い場所に分布する。
寒いところが好きなのだろう。
もちろんロシアなどにも住んでいる。

ダニの媒介する病気といえば、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が有名である。これを媒介するのが、フタトゲチマダニというマダニで、シュルツェ・マダニとは違う。

実はこの、シュルツェ・マダニはツツガムシと並ぶほど、やっかいなマダニである。
このダニは、日本におけるライム病の唯一の媒介者。ライム病は北米などでいろいろ問題になるダニ媒介感染症である。
ライム病は中枢神経をやられたり、慢性的な関節炎になったりすることもある。あと、心筋にも影響することもある。ロシアでは本種が春夏脳炎という危険な感染症を媒介する。

噛まれたら、決して自分で引き抜こうとせず、医療機関に行って取ってもらうようにしたい。自分で取ると、口だけが皮膚の中に残ったり、体液が注入されたりして危険である。このダニの病原性は、かなり強い。

世間ではフタトゲチマダニにばかり注目が行くが、このマダニの方がむしろ厄介だと私は考えている。

日本では6−8月に主として活動するらしいため、今が一番気をつけなければならない時期である。
比較的寒いところを好むので、北アルプスでテント泊したり、ハイマツの藪を漕いだりする時は十分注意しよう。

予防策としては、なるべく皮膚を露出させない、防虫スプレーをたっぷりかける、ことが大切である。このダニは特に後頭部とか、首筋を好むので、疑わしい場所を通過した時は、このダニが付いていないか、よく確認するべきである。
下山後の着替え、入浴は確実にしてほしい。

しかし、私が最初に噛まれた時はまだ残雪が沢山あり、噛まれた場所も1400mぐらいの山であった。温暖化によって、活動時期は確実に長くなり、かつ広がっていると思われるので、油断しないほうがよい。