2022年9月13日火曜日

また西穂高岳で事故

 西穂高岳で40代の方が滑落して亡くなった。

以前に書いたページでも言ったように、西穂高岳は気軽にアクセスできる割には危険な山である。

登山イメージを図にすると、以下のようになる。何回か登っているが、自分の中ではだいたいこのような印象だ。


独標(2701m)は、ほぼ白山と同じ標高である。山頂まではここから300m登らなくてはならないが、ここからが「急に」難しくなってくる。

足場は細くなり、岩場のレベルがぐっとあがる。初心者は独標の山頂に立ったら引き返すとよい。また、天候が悪い場合もここから先には行かない方が良い。岩場で足を滑らすと、本当に命が無いと思う。実際、毎年といっていいほど、亡くなる方が出る。

なぜ危ないか。それはあまり手がかり(ホールド)がないからだ。落ち着いて探せばちゃんとあるのだが、初めての場合、非常に分かりにくい、と思う。

冬に行く人もあるが、基本的にしっかりしたパーティーで、ロープワークのきちんとできる人がいないと、行けないと思う。

ヤマレコやYAMAPに「行った」という記事があふれているので、誰でも行けるのか、と誤解してしまうようだが、なかなか、気安く行けない場所だ。

行かれる方は、本当に十分注意してください。

2022年9月7日水曜日

エアカウンターSを購入

岩石を観察するなら、放射性鉱物の存在を常に意識しておかねばならないだろう、と思ったので、簡易的なガイガーカウンターを購入した。
これは安価ながらも、ガンマ線を測定でき、日本のエステーが作っているので、ある適度正確だ、と定評があるものである。
正確なウクライナ製のカウンターを買おうとすると、10万円近い出費になるので、そこまでの機能は必要ない。
また、隣国で作っている安価なものは、アルファ線やベータ線も測れると謳ってはいるが、はたして信用に値するのかどうかわからない。
要は、岩石に近寄る場合に、どの程度の線量がでているか、およその値が分かればよいのだ。 

エステーエアカウンターS。単三電池1本で動く。

バックグラウンド線量は、ほとんど無視できる値だ。

以前拾ったひすいに近づけてみると・・、0.14μSv/hの放射線を発していた。ヒスイはジルコンなどを含むことがあるため、わずかながら放射線を放つ。

こちらのひすい混じりの岩石は、表面にジルコンの粒が出ており、概して線量が高かった。それにしてもこの程度であり、ほぼ問題のない値である(岩石にぴったり付けて計測)。

しかし、不可解な現象が起こった。

石の線量測定を終わり、たいしたことがないなあ、と思っていた矢先、まったく岩石の近くに無いのに、カウンターが0.4μSv/hを示したのだ!(ちなみに、環境放射線で国が認める上限は0.23μSv/h)。

その時、ちょうど雨が降り始めた所であった。雨が降る時間が経つにつれ、線量が急に下がっていき、最後は通常の値に戻った。

結構危なそうな岩石を測るよりも、雨の降り始めの線量が高いとは!

大気中には思った以上に放射性物質が飛び交っているのだろうか?

あるいは隣国の核実験?

そんなものが飛んでこられたらたまらない。

2022年9月6日火曜日

キュリー夫妻

 放射線の透過力について

(α線は紙を透過できない。β線はアルミ箔、γ線は鉛や鉄、中性子線はコンクリートや水を透過できない)

ポーランド生まれの科学者、マリ・キュリーは数トンの「閃ウラン鉱(ピッチブレンド)」の中から、たいへんな努力によってラジウムをわずか0.1gであるが取り出し、放射性元素の単離に成功した。またベクレルによって発見された「放射能」という概念を確立したことでも有名である。

小学校の道徳の教科書や、本棚にあった偉人の伝記で知っている人も多いであろう。

最初は必ずしも恵まれた環境の中で研究できたわけでなく、当時の男尊女卑の社会にあって、自らの科学的研究を貫きとおした姿勢は、称賛に値する。

のちにノーベル物理学賞、ノーベル化学賞を受けたが、これは女性では初めてのことである。今の「理系女子」の元祖ともいえる人物であった。その研究はその後の放射線研究の先駆となり、放射線医療や原子力発電などに繋がっていく。

しかしながら、女性であるという理由で、社会の偏見に常にさらされ、苦労が多かったようだ。

だが、晩年まで研究への情熱は衰えることを知らず、放射線被ばくによる再生不良性貧血によって66歳で亡くなるまで、研究をつづけた。

彼女が苦労して取り出した「ラジウム」は、放射線治療や夜光塗料などに利用されたが、現在では、扱いやすい放射性物質が発見されたり、蓄光塗料の開発などによって、使われていない。

それにしても、数トンの鉱石の中から、0.1gしかない希少な元素を取り出すには、どれだけの苦労が必要だっただろうか?

放射性鉱物を目の前にして、ふとそんなことを思い出したので書いておく。

2022年9月3日土曜日

放射性鉱物の重要さ


 ひすいがきっかけで、いろいろな鉱物に興味を持つようになった。
(放射線を発する鉱物に興味が出てきたら、かなり岩石オタクになってしまった、と言えるであろう)
ひすいが地殻上にたくさん存在する「ケイ酸塩鉱物」の一種であるに対し、放射性鉱物はわずかしか存在しない。
ウランは地殻上にはあまりない。
ジルコニウム、タンタル等はレアメタル(希少金属)とも言われ、なかなかお目にかかれない。
工業的に重要な物質であるにもかかわらず、ほとんどを中国やアフリカ等からの輸入に頼っているのが現状だ。

希少金属は、その電気的特性からスマートフォン等の電子部品に使われ、需要が非常に多くなっている。
またウランは原子力発電に欠かせない。
これらの希少な金属元素を含むのが、放射性鉱物なのである。さらにこれらの鉱物にはイットリウム、セリウム、ランタンなどレアアース(希土類元素)も含まれる。
これらの元素を含む「花崗岩ペグマタイト」は、地殻深くでゆっくり結晶する。そのために希少金属が凝縮される。凝縮された部分を「ペグマタイト鉱床」と呼ぶ。

ひすいはガラスなどと同じ鉱物で、宝石以外に需要はないが、希少金属は現代社会に欠かせない重要な物質である。
おのずから両者の価値に、大きな差があることが理解できるであろう。

今後、中国との関係悪化によって、これらの物質が入手できなくなった場合、国内の鉱床を掘る必要が出てくるかもしれない。
幸いにして、日本は火山地帯なのでこれらの鉱物がいくらか存在する。
いざというときのために、このような鉱床の開発、保護をしておかなければならないのではないだろうか?

2022年9月2日金曜日

ユークセン石探し 再び

今度は2本目の露頭につながると思われるペグマタイトの近くを探してみる。
落石に近づくと、ピュンピュンアルファ線が飛んでいるのか、ちくちくするくらいだった(笑)(多分そんなことはないよ。帯状疱疹か何かだろ。)
放射線管理区域ではないけど、たぶんかなり線量が高い場所だと思うので、短時間で観察することにした。
雨が降っているので、落石は多いはずだ。

ペグマタイト発見。石英は放射線の影響で透明→白→灰色→黒にまで変色する。黒のものを「モリオン」という。また他の鉱物が混じる事により、紫、緑にも着色する。紫の水晶を「アメシスト」という。(アメシストが放射線によって色づく仕組みはこちらを参照)これは最近鉄イオンの影響だと指摘されている。緑の原因は緑泥石らしい。放射線によって欠損した結晶格子に金属原子が入り込むらしい。

これは多少紫色に色づいているように見える。ガイガーカウンタを持っていないが、おそらく強い放射線を発しているだろう。真ん中の黒い鉱物がおそらく放射線源だと思われる。しかし「ハロ」のようには見えないから、違うかもしれない。

これはかなり灰色になっている。

おそらく一番強く放射線を放っているであろうと思われる石。濃い灰色になっている。下には紫色に変色した鉱物が見える。近づくと皮膚にちくちくした刺激を感じた(多分気のせい(^^)

これにも何か含まれているね

これにも紫色の部分がある。

前回も書いたが、放射性鉱物は手で触れるだけでも放射性物質の粉を取り込んでしまう可能性がある。
ハンマーで叩いたり、割ったりするなど、もってのほかだと思う。
ずっと身に着けたりするのはとても危険。
近くに置くのも、アルファ線は遮れても、ベータ線、ガンマ線の影響を受けるだろう。

こういう鉱物は観察するだけで十分だ。持ち帰るなど危険な行為をしないのが身のためだ。
写真を見ているだけであれば、被曝するおそれもないのだから。