スカルン鉱床の説明は上記リンクがわかりやすい。
要するに、地下から上がってきたマグマ、熱水など、高温の物質と、堆積岩である石灰岩が接触する。酸性の熱水の中には地下深くに存在する金属などが含まれており、それがアルカリ性である「石灰岩」と接触することで中和し、その中に金属が取り込まれた鉱脈だ。
自分の住んでいる所に近い神岡鉱山が代表的な例である。
接触した石灰岩は変成し、「結晶質石灰岩(大理石)」になる。
神岡鉱山の場合は、接触される側の石灰岩がすでに結晶質石灰岩になっており、それが火成岩由来のマグマから発生した熱水に接触することで鉱床を作っている。
金属は火山の硫黄分と結合し、硫化物として沈殿することが多い。
簡単に言えば「マグマの中の金属が、石灰岩の境目に溜まっている」タイプの鉱脈なのだ。
飛騨帯に広く分布する結晶質石灰岩の例。透輝石や石墨を含んでいる |
亜鉛を含む異極鉱と思われる鉱物。茶色の部分は磁硫鉄鉱 |
スカルン鉱床に含まれる金属元素は種類が多く、神岡鉱山の場合は亜鉛が主であった。
神岡鉱山の周辺には、金銀銅はもちろん、石墨や鉛、モリブデン、そして有害なヒ素やカドミウムを含む鉱脈が点在していた。
現在ではこれらの鉱山はすべて閉山されている(現在立ち入りが禁止されているところがほとんど)。神岡鉱山は奈良時代の頃からすでに採掘されていたほど歴史が古く、日本の鉱業史の中でも欠くことのできない重要な鉱山であった。
スカルン鉱床が面白いのは、そこに含まれる多彩な鉱物、金属だけでなく、地質学的な特異性を持つこと。それは日本国土の成立にも関わる大地の運動の歴史を刻んでいる。
大陸から分裂した岩石に含まれる変成した石灰岩に、火山活動で湧き上がってきたマグマが接触し、このような鉱物が生まれるのである。不思議なことだな、と思う。