一番手前が嘉ヶ堂谷の最上部。黒部川をはさんで向こうに百貫山、名剣山。一番奥の白い山が白馬岳(天狗ノ頭)、不帰のキレット、唐松岳だ。 |
サンナビキ山方面。手前の深い谷がサンナビキ谷。こんな恐ろしく深い谷にも遡行記録がある。改めて人間って何でもするんだなあ、と思ってしまった。 |
大西良治『渓谷登攀』(ヤマケイ)には、越中駒ケ岳周辺の谷の遡行記録が載っている。
嘉ヶ堂谷(かかどうだに)~尾沼谷下降(2016年7月)という記録がそうだ。
嘉ヶ堂谷は越中駒ケ岳に端を発する谷、尾沼谷は僧ヶ岳からの谷だ。
記録を読むと分かるように、大西氏をもってしてもなかなか手ごわい谷のようである。
われわれ素人からすれば、どうしてこんなところに行こうとするのか、まったく理解できないレベルである。
沢をやらない一般登山者と沢屋(沢登り愛好家)の関係は、登山をしない人が、登山者に「なぜ登山などするのか?」と疑問を呈する場合と、同じ事ような関係なのだろう。
しかし、『渓谷登攀』を読むと、登山をやりつくして新たなフィールドを求めて沢に入って行く人の気持ちもわからないでもない。
それはともかくとして、越中駒ヶ岳は予想以上に素晴らしい山であった。
文字通り、立山連峰の最北端に位置し、横は黒部峡谷を挟んで後立山連峰、日本海まで一望できる。
特に印象深かったのが、今までに見たこともないほど、深く切れ込んだ渓谷が無数に走っている光景であった。
今まで見た中で印象深かったのが、大笠山にある「大畠谷(おばたきたん)」である。この谷も深く切れ落ちている(『渓谷登攀』にも遡行記録が載っている)。
大笠山も素晴らしい山である。
いい山は、他の山とはどこか違った雰囲気がある。それが非常に深い渓谷に由来するのかもしれない、と思ったので、書き留めておく。
私は切れ落ちた場所に、なぜかしびれてしまうのだ。