先日の蛍石のサンプルを観察。
「正八面体結晶」がないか、探してみた。きれいに8面体という結晶は無い様だが、劈開があり、しかも三角形にひびがある部分もある。
しかし淡いグリーンの色はまさに蛍石のそれだ。
蛍石は愛好家が多いらしく、ひすいのような色に魅かれてにわかに入手した私のような者とは違って、この石の愛好家さんたちにとっては、特別な価値がある石だと思う。
眺めていると、確かに半透明のすりガラスのような雰囲気、石英とは異なる、独特の透明感があって面白いものだ。
磨いてみても面白そうだが、蛍石の化学組成はフッ化カルシウム。
これは粉末になると危険な物質らしい。磨かずにおこう。
濃硫酸に入れると「フッ化水素」という、きわめて危険な物質が発生するので、酸は厳禁だ。フッ化水素は、高校の化学の時間に聞いたことがあるが、骨を腐食する。
これに暴露すると、骨の成分である「リン酸カルシウム」をどんどん蛍石にしてしまい、血液中のカルシウムとも結合し、「低カルシウム血症」で亡くなることもあるようだ。
フッ素はどうもカルシウムがよほど好きならしい。これもまた自然の神秘ではあるなあ。
ただ、いったんカルシウムと結合した蛍石は安定な物質で、刺激を与えない限り、フッ化水素を発生させることは無い。
またフッ素とナトリウムが化合した「フッ化ナトリウム」は、毎日使っている歯磨き粉に、歯質強化の為に配合されているほど、害の少ない物質である。
(むしろこの「フッ化ナトリウム」の方が、危険性が高いぐらいだ)
結晶を撮影しよう、としてみたが、あまりきれいに撮れていない |
太陽光下で。独特の透明感 |
石英とは割れ方が違う |
蛍石と母岩の間にあるのは、どうやら黄銅鉱のようである |
緑色と褐鉄鉱の混じった茶色の蛍石がある |
黄銅鉱と思われる金色の部分。これは金に見える。わずかに金を含むことがあるらしいが、ほとんど含まないのが普通。これは昔「愚者の金」と言われていたらしい。これを見つけて「金だ」と勘違いした人がいたことを物語る。 |
金色っていい色だよね。
貧乏人のわたくしにとっては。
------------もう一つのサンプル
これも自形結晶は無いけど、蛍石のサンプル |
独特の透明感、結晶構造に従い、スラブ状の表面が特徴 |
青色を示す蛍石。微量の希土類元素(青はセリウムに由来する)により、着色する |
これは濃いグリーン。ロウカン翡翠みたいだな(笑) |
たいして価値もなく、柔らかく、割れやすいが比重3.2ぐらいあり、ひすいに近い。石としての全体的な雰囲気がひすいに近い、と思っている。 |