2024年9月20日金曜日

石が語り掛けてくる真実


 
たくさんの石が集まる海岸は、まるで世界の縮図のようである。
なぜか?

① 種々さまざまな種類の石がある

人間に誰一人として、同じ人間はいないように、海岸の石も同じように、どれもお互いに全く同じである、ということはない。

② ライフサイクルがある

石はマントル・マグマや、サンゴ・珪藻・プランクトンなどの生物から生まれる。
それらが地殻変動により、山の上へ押し上げられる。
風雨がそれらを削り、川に流されて、海岸に流れ着く。
それらはやがて砕けて、砂粒になり、またマントルの下に帰っていく。
石には非常に長い生命循環(ライフサイクル)がある。
1周回るのに、何億年もかかるだろうが。
人間も、生まれ、活動し、病気になり、死ぬというライフサイクルがある。
人間は死んだらもう生まれ変わらない、というのは皮相な見方である。
死ねば大気の循環や、地面の循環に回帰し、またいずれ生まれてくることもあるだろう。

③ 美しい存在は稀である。

海岸でいくら探してもヒスイは見つからない。
たとえあったとしても、それは人を感動させるような美しさをもっていないことがほとんどだ。
圧倒的に普通の石ころが多い。本当に優れた石に出会うことは、ほぼ奇跡的な確率でしか起こらない。
人間社会においても、本当に徳のある、優れた人物に巡り合うことは、まず無い。
ほぼ、ほとんどの人間が、普通の人間である。
たとい勝れているように見えても、それが人として美しい存在であるとは言えないことがほとんどである。

2024年9月17日火曜日

硬玉ひすいはお守りにしていない

 
ネフライトの美しい透過光

前に軟玉ひすい(ネフライト)と、硬玉ひすい(ジェダイド)の違いの事を書いたことがあった。
もともと、中国で「玉(ぎょく)」と言われ、徳の高い石だ、とされていたのはネフライトの方である。
※ 古代に藍田玉と言われ古典の中に登場する「玉」は、ネフライトではなく、カルサイトと蛇紋大理石の共生体である。のちにホータン産の白いネフライトの方が尊ばれるようになったようだ。)

後から知ったことであるが、ネフライトは硬玉ひすいよりも靭性(われにくさ)では勝っている。
モース硬度はわずかに柔らかいものの、これは割れにくさを意味しない。
ちなみにモース硬度10であるダイヤモンドは、トンカチでたたくと割れてしまう、という。
硬玉ひすいは靭性の点ではダイヤモンドよりも勝っており、よほど大きな力を加えない限り、簡単に割れることはない。これは硬玉ひすいが細かい結晶の集合からできているからである。
ネフライトも結晶の集合からできているので割れにくいが、ネフライトの結晶は「繊維状」であり、硬玉ひすいの結晶よりもさらに丈夫である。
普段、お守りとして持ち歩くには、割れにくさの観点からネフライトの方が適している。

また、「美しさ」の観点から見ても、ネフライトの方が勝っている。
なぜなら、表面が潤っていて、つやがあるからだ。
このため日本人は「油石」である、と表現したが、このつやつや感は他の石にはない。
もちろん、硬玉ひすいにもない。
透過光も、何とも言えない美しさを備えている。
やはりこの石の方が「美術的観点」からすれば、美しいと思ってしまう。

GIA(Gemological Institute of America)に掲載されているこの記事が非常に秀逸で、ネフライトのことを知りたければ、ぜひともご一読されたい。
また、GSTVのページに記載されている「アヒマディ博士のジュエリー講座」のネフライトの解説も、とても詳しい。
日本で産出するネフライトは、中国で「碧玉」と言われるものに該当すると思われる。最高品質の「羊脂玉」と比較すると、品質は悪いとされる。
(日本で「碧玉」と言えばジャスパーのことであるが、中国では「碧石」と言われるらしい)

ネフライトの原石は、カナダやロシアで大規模に採掘され、資源量は膨大である。
300トンぐらいの原石がごろごろあり、ほとんどが中国に輸出されている。
中国ではとくに美しいグリーンのネフライトが喜ばれ、品質の良いものは非常に高価である。
日本で産出するような石は、グレードが低いと思われるが、それでも透明度の高いものはあるように思う。
中国の人たちはこの石をバングルに加工したりしている。
石自体がたくさんあるので、高価ではない。
中国のお土産屋さんで売っているひすいのアクセサリーは、ほとんどがこの石の、カナダやロシアで採掘されたものである、という。
もちろん中国のウイグル自治区ホータンなどでも産出されるのだが、最近では資源が枯渇し、ホータン産のネフライトはプレミアムが付くようになっている。

以上のように、宝石としてのネフライトは、日本でこそ「油石」と言われてバカにされているが、そのような価値の低いきつね石などではなく、歴とした伝統のある素晴らしい宝石である。
私がこの石を愛し、常に身に着けているのは、この石の「徳」にあやかりたいからでもある。

2024年9月16日月曜日

自分の目を信じるしかないだろ

 

※ FMMを訪問してから、どうも石の見え方が変わってしまったようだ。自分で納得がいかないので、以下の駄文を書いてみた。

前にも「科学的(鉱物学的)石の見方」と「美術的石の見方」はちがう、ということを書いた。
上の石などは、科学的な観点からすれば翡翠輝石岩でまちがいないのであるが、美術的観点からすれば、ただの石ころである。
そもそも「宝石」とは、なぜ「宝石」なのであろうか?
昔の人たちはもちろんX線回折装置など持ち合わせているわけもなく、当然自らの感性にしたがって、自分たちが「美しい」と思った石を「宝石」として崇めたのである。
だから、古代日本人によって作られた勾玉の中には、硬玉ヒスイでないものも含まれている。
のちの時代になると、より色の映える「ジャスパー」や人工のガラスでさえ使われた。
彼らにとって関心があったのは「その石がどれだけ美しく見えるか」であった。
(古代の日本人にとっては、「青=緑」が生命そのものの色である、と感じられたようだ)
素材は二の次である。
以上の事から考えると、古代日本人は「美術的石の見方」をしていた、と言えるだろう。
私も古代日本人のように「本当に美しいもの」に出会えたらいいな、と思っている。
結局は自分の目を信じるしかないのだ。
FMMなどでやっているような「科学的分析」は、また別の話だ。それは石の「質」ではあっても、全体的な「本質」では決してない。

世間には「これはひすいだ」ということに、やたらこだわる人がいるようである。
そういう人々が駐車場に不法投棄したであろう石を見れば、たしかに石英、ロディン岩などばかりである。
しかしながら、美しい玉髄ですら捨てられていることがある。
石の見方を知らない人たちが、こういうことをしているのだろう、と思った。
ヒスイを拾ったあと、海岸で選別するのは良いと思うが、駐車場に捨てるのはやめましょう。
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人間に生命があり、ひとりひとり個性があるように、
石ひとつひとつにも、それぞれ個性がある。

だれもそれを再現できないことから、
石にも生命がある、ということができる。

人間は、自然に作られた砂一粒ですら、
科学の力だけで再現することはできない。

科学の力で何もかもが可能であるならば、
なぜクローン人間は、オリジナルの人間と同じ人間にならないかを説明してほしい。

石は複雑な「関係性」の中でその仮の姿を見せているのだ。
われわれは石と同等の存在である。

石の方が優れているわけでもないし、
我々の方が優れているわけでもない。

2024年9月14日土曜日

薄い紫のひすい あまりきれいでない

 久しぶりに拾ったひすいなのだが、薄い紫を含んでいてきれいなので、スマホでないカメラで撮影してみる。
残念ながら、あまり良く撮れない。ひすいとしてはあまり質が良くないのかな。
やはり灰色の方がメインで、緑の部分も多く混じる。
透明度はある方だとは思うけど。

翠の粒が含まれており、これから周りに色がにじんでいる。波で削られている部分はひすいではないと思う。角閃石かな?

ハンバーガーのように、角閃石か何かをサンドイッチしている。層状に形成されたひすい。こういう構造が、ひすいが熱水起源であることの証拠になるのだろう。緑色は角閃石に含まれる塩化鉄かクロムから供給されるのであろう。

ラベンダーになっている部分に光を当ててみるが、気持ち紫である程度。

発色要因はチタンとマンガンと鉄だという。

藤紫だ。

これはほとんど角閃石であるものの翡翠の部分に光を通してみたもの

この部分だけ翡翠だね。

2024年9月12日木曜日

少し拾いに行ってみた

先日、猛暑も少しだけ落ち着きつつあったので、ラベンダービーチ周辺に探石に出てみる事にした。最近全く歩いていなかったし、運動不足が限界に来ていたし。他にもひすいハンターが多数であった。
実際大変暑かった、と言わざるを得ないが、海の風はやや秋らしくなってきた。
町中のコンクリートの照り返しよりは少しましだろう。

これは部分的にひすいを含んでいる石。比重2.9。表面がかさかさなので、ほとんどが角閃石だろう。

比重3.0の白いヒスイ。たぶん部分的にヒスイ

ポイントはあるが、今一つ自信がない石。ロディン岩かな?(針状結晶が見えるきわめて質の良いひすいだと思われます。しかし、透光色が悪い)

久々にいいのが来た。比重3.1の灰色ラベンダー。灰ラベと言われる石の特徴を満たしている。

裏面は結晶きらきら。うっすらとラベンダー色のインクルージョン。少しでもラベンダー色がわかる石を拾うことは、最近ではとても稀なことだ。めったにない幸運である。

まあまあ面白いジャスパー

カーネリアンと言えるかもしれない真っ赤な玉髄

少し青みのある玉髄

青ネフライト