2022年6月24日金曜日

白山を構成する岩石

 ※参照 東野外志男「白山の生いたち」(『白山の自然誌』27)、平成19年、石川県白山自然保護センター、pp.19-20

砂防新道下山う回路にて。手取層のさまざまな岩石

白山を構成する岩石には大略6種類ある、という。

① 片麻岩(飛騨変成岩類)
② 砂岩(手取層)
③ 礫岩(手取層)
④ 溶結凝灰岩(濃飛流紋岩類の類似岩石)
⑤ 月長石流紋岩
⑥ 安山岩

観光新道でよく見たのは圧倒的に③の礫岩(手取層)であった。
かなり大きな礫(角が取れた丸い石)が多く含まれ、取れて道に転がっているものもあった。これは先カンブリア時代、大陸で作られた正珪石が川で運ばれて、長い間のうちに石英だけ残った硬い石であるという。これが堆積層に取り込まれ、残ったものだ。同じ成り立ちのものが、富山の刀利にもある。

後、黒い石炭のような石を多く見かけた。これは白亜紀前期(約1億4500万年前)に形成された岩で、「桑島層」と呼ばれ、細粒雲母質砂岩と炭質頁岩からなる。
これはまさに「恐竜の化石」が発見されている地層で、上の写真の黒い石が炭質頁岩のかけらである。
⑤の月長石流紋岩は、白山から少し北西方向の鷲走ヶ岳で見出されている。これは富山だと、城端の臼中ダム周辺に存在する。
①の飛騨変成岩類は、中宮の尾添川流域あたりに存在する。これは大昔大陸の一部だった部分に、後から花崗岩(船津花崗岩)が嵌入したものである。何度も変成作用を受けており、元の岩石が何だったのかは特定しずらい。

白山は最初は3000mほどもある火山だったが、激しい浸食と新しい噴火を繰り返し、今の高さになっている。元の山体は、大汝山の向こう側の火の御子峰や地獄谷あたりにあったと思われる。
また土台そのものも隆起したり浸食されたりしているため、複雑な地質を構成している。
そのために様々な岩石や化石が存在するのである。

岩石が好きな人間にはとても興味深い場所で、また機会があったら行ってみたいと思う。