2019年5月5日日曜日

気象遭難について

羽根田修『ドキュメント 気象遭難

昔の本ではあるが、上のリンクの本は気象遭難の事例をいくつか集めていて有用だ。
(ただし、一般登山者にはあまり縁のない、冬の剱岳の話が二つ入っているが)

本日も丹沢において、落雷の直撃を受けて亡くなった方がある。

前掲の本にも、落雷の事例が一つ入っている。これによれば、雷は周りより高いものがある場所には、どこにでも落ちるようだ。なるべく身を低くしても、周囲に木があれば、木を伝って被雷する可能性がある。この例では、樹林帯の中にいた時に落雷が起こったという。森の中にいれば、安全だというのは間違いだ。
山中で雷に遭えば、逃げる場所はほとんど無い。だから雷注意報が出ている場合は、山に入ってはいけない。遠雷が聞こえたりした場合などは、とにかく逃げるしかないが、それでも逃げ切れるかどうかは定かで無い。

この本には北海道のトムラウシ山の例も載っていた。トムラウシ山はほんとうに危険な山で、この本に載っている例では2人の死者が出ている。
この本が出版された後、2009年には日本の登山史上忘れることのできない大量遭難事故が発生してしまった。

本の事例も、2009年の事故も、7月に発生している。北海道の山は7月、8月でも降雪するというから、本州の5月ぐらいにアルプスに登るような装備で臨まなければならないと思う。つまり北海道は春山なのだ。

本の事例では、台風の中、登山を続行したことが原因であった。
2009年の事故の場合も、強風と豪雨の中、現状を認識できなかったガイドによる登山の続行が原因であり、8名の死者を出した。

山において、もっとも危険なのが気象の急変だと私は思っている。
なぜなら、道迷い、滑落等は十分に注意すればある程度予防できるが、気象に関しては、前もって十分に予想して準備しておいても、急に変化することがあるからだ。

雷などはいつ発生するか分からない。急な雨や風雪に遭えば体温が下がり、低体温症で簡単に死んでしまう。

大自然は人間に対して一切手加減をしない。ちょっとした不注意で、簡単に危険な状況になってしまうのが山である。

常日頃からの十分な天候チェック、そしてもしもの場合のために、装備の充実を図らなければならない。

2014/01/24 @五箇山高落場山 急に湧いてきた層積雲の堤。この後、間もなく降雪してきた。登りは快晴だったのに、一瞬で天気が変わってしまう山の天気の恐ろしさを思い知った。