2024年9月28日土曜日

蛍石の遊色効果(イリデッセンス)

 遊色効果を示す石の代表は、何と言っても「オパール」である。
それ以外にもアンモライトや真珠、ラブラドライトに見られる虹色の暈色(イリデッセンス)を遊色に含める場合もある。
蛍石も遊色効果を示すものがある。しかしこれは暈色の一種だと思う。なぜなら虹色に輝くから。
蛍石は結晶しているが、何層にも重なった構造をしているのであろう。
ここに、蛍石の科学的な構造図が書かれているので参考にするとわかりやすい。表面の細かな立方体構造はこれに由来するのだろう)
この構造がとても規則的であるので、光の干渉を起こし、虹色に光を反射するのであろう。
オパールの遊色も、小さな石英の粒が規則正しく並んでいる事から起こる現象である。

また、蛍石は「4方向に完全な劈開」を持ち、したがって正八面体に割れることが知られている。
これも蛍石の分子構造が関係しているからであろうが、どうして正八面体に割れるのかを、私は説明することができない。なぜなら、科学的な構造図を見れば、立方体の集合だから。
鉱物学の専門家であれば、説明できるのであろうけれども(分子構造の八面体間隙か空であるから、らしいが、この部分に結合が無いから、ということであろうか?化学の専門家でないから、わからない)。

このように見事なイリデッセンスを示す個体がある

このイリデッセンスも美しい。

蛍石と石英の違いは、このイリデッセンスだと思うのだが、水晶にもこれを示す個体がある。ただ、示し方は蛍石の方がかなりはっきりしているように思った。

蛍石サンプル様々 黄銅鉱 ロウカンひすいのような色

 先日の蛍石のサンプルを観察。
「正八面体結晶」がないか、探してみた。きれいに8面体という結晶は無い様だが、劈開があり、しかも三角形にひびがある部分もある。
しかし淡いグリーンの色はまさに蛍石のそれだ。
蛍石は愛好家が多いらしく、ひすいのような色に魅かれてにわかに入手した私のような者とは違って、この石の愛好家さんたちにとっては、特別な価値がある石だと思う。
眺めていると、確かに半透明のすりガラスのような雰囲気、石英とは異なる、独特の透明感があって面白いものだ。
磨いてみても面白そうだが、蛍石の化学組成はフッ化カルシウム。
これは粉末になると危険な物質らしい。磨かずにおこう。
濃硫酸に入れると「フッ化水素」という、きわめて危険な物質が発生するので、酸は厳禁だ。フッ化水素は、高校の化学の時間に聞いたことがあるが、骨を腐食する。
これに暴露すると、骨の成分である「リン酸カルシウム」をどんどん蛍石にしてしまい、血液中のカルシウムとも結合し、「低カルシウム血症」で亡くなることもあるようだ。
フッ素はどうもカルシウムがよほど好きならしい。これもまた自然の神秘ではあるなあ。
ただ、いったんカルシウムと結合した蛍石は安定な物質で、刺激を与えない限り、フッ化水素を発生させることは無い。
またフッ素とナトリウムが化合した「フッ化ナトリウム」は、毎日使っている歯磨き粉に、歯質強化の為に配合されているほど、害の少ない物質である。
(むしろこの「フッ化ナトリウム」の方が、危険性が高いぐらいだ)
結晶を撮影しよう、としてみたが、あまりきれいに撮れていない

太陽光下で。独特の透明感

石英とは割れ方が違う

蛍石と母岩の間にあるのは、どうやら黄銅鉱のようである

緑色と褐鉄鉱の混じった茶色の蛍石がある


黄銅鉱と思われる金色の部分。これは金に見える。わずかに金を含むことがあるらしいが、ほとんど含まないのが普通。これは昔「愚者の金」と言われていたらしい。これを見つけて「金だ」と勘違いした人がいたことを物語る。

金色っていい色だよね。
貧乏人のわたくしにとっては。

------------もう一つのサンプル

これも自形結晶は無いけど、蛍石のサンプル

独特の透明感、結晶構造に従い、スラブ状の表面が特徴

青色を示す蛍石。微量の希土類元素(青はセリウムに由来する)により、着色する

これは濃いグリーン。ロウカン翡翠みたいだな(笑)

たいして価値もなく、柔らかく、割れやすいが比重3.2ぐらいあり、ひすいに近い。石としての全体的な雰囲気がひすいに近い、と思っている。


2024年9月26日木曜日

蛍石サンプル入手

 以前、登山曼荼羅: VIVANTとフローライト (normallifejapan.blogspot.com)で書いた蛍石(フローライト)のサンプルを入手。
鉄鉱石?か銅鉱石?の隙間に形成された蛍石のようである。
黄銅鉱か、黄鉄鉱のような鉱物に金色に輝くものが含まれる。

蛍石独特の緑色。緑の発色はわずかに含まれる「サマリウム」に由来する、という

蛍石の周りに、わずかに金色に光る黄鉄鉱のような鉱物

光を透過させると、緑色が映える。蛍石特有の正八面体結晶は、残念ながら存在しないようだ。

ちなみに「正八面体」の結晶構造を有する鉱物は、他にも「ミョウバン(AlK(SO4)2·12H2O)」などがある。ここによれば(ただしミョウバンを水酸化アルミニウムと考えている)「分子構造が規則的な正八面体」をしているからだ、という。
蛍石の化学式は CaF₂である。一般にフッ素、塩素、臭素、ヨウ素と化合した物質を「ハロゲン化物」と言う。食塩はNaClなので、ハロゲン化物である。

脈状に生成される、ということは熱水起源なのであろうか?

2024年9月20日金曜日

石が語り掛けてくる真実


 
たくさんの石が集まる海岸は、まるで世界の縮図のようである。
なぜか?

① 種々さまざまな種類の石がある

人間に誰一人として、同じ人間はいないように、海岸の石も同じように、どれもお互いに全く同じである、ということはない。

② ライフサイクルがある

石はマントル・マグマや、サンゴ・珪藻・プランクトンなどの生物から生まれる。
それらが地殻変動により、山の上へ押し上げられる。
風雨がそれらを削り、川に流されて、海岸に流れ着く。
それらはやがて砕けて、砂粒になり、またマントルの下に帰っていく。
石には非常に長い生命循環(ライフサイクル)がある。
1周回るのに、何億年もかかるだろうが。
人間も、生まれ、活動し、病気になり、死ぬというライフサイクルがある。
人間は死んだらもう生まれ変わらない、というのは皮相な見方である。
死ねば大気の循環や、地面の循環に回帰し、またいずれ生まれてくることもあるだろう。

③ 美しい存在は稀である。

海岸でいくら探してもヒスイは見つからない。
たとえあったとしても、それは人を感動させるような美しさをもっていないことがほとんどだ。
圧倒的に普通の石ころが多い。本当に優れた石に出会うことは、ほぼ奇跡的な確率でしか起こらない。
人間社会においても、本当に徳のある、優れた人物に巡り合うことは、まず無い。
ほぼ、ほとんどの人間が、普通の人間である。
たとい勝れているように見えても、それが人として美しい存在であるとは言えないことがほとんどである。

2024年9月17日火曜日

硬玉ひすいはお守りにしていない

 
ネフライトの美しい透過光

前に軟玉ひすい(ネフライト)と、硬玉ひすい(ジェダイド)の違いの事を書いたことがあった。
もともと、中国で「玉(ぎょく)」と言われ、徳の高い石だ、とされていたのはネフライトの方である。
※ 古代に藍田玉と言われ古典の中に登場する「玉」は、ネフライトではなく、カルサイトと蛇紋大理石の共生体である。のちにホータン産の白いネフライトの方が尊ばれるようになったようだ。)

後から知ったことであるが、ネフライトは硬玉ひすいよりも靭性(われにくさ)では勝っている。
モース硬度はわずかに柔らかいものの、これは割れにくさを意味しない。
ちなみにモース硬度10であるダイヤモンドは、トンカチでたたくと割れてしまう、という。
硬玉ひすいは靭性の点ではダイヤモンドよりも勝っており、よほど大きな力を加えない限り、簡単に割れることはない。これは硬玉ひすいが細かい結晶の集合からできているからである。
ネフライトも結晶の集合からできているので割れにくいが、ネフライトの結晶は「繊維状」であり、硬玉ひすいの結晶よりもさらに丈夫である。
普段、お守りとして持ち歩くには、割れにくさの観点からネフライトの方が適している。

また、「美しさ」の観点から見ても、ネフライトの方が勝っている。
なぜなら、表面が潤っていて、つやがあるからだ。
このため日本人は「油石」である、と表現したが、このつやつや感は他の石にはない。
もちろん、硬玉ひすいにもない。
透過光も、何とも言えない美しさを備えている。
やはりこの石の方が「美術的観点」からすれば、美しいと思ってしまう。

GIA(Gemological Institute of America)に掲載されているこの記事が非常に秀逸で、ネフライトのことを知りたければ、ぜひともご一読されたい。
また、GSTVのページに記載されている「アヒマディ博士のジュエリー講座」のネフライトの解説も、とても詳しい。
日本で産出するネフライトは、中国で「碧玉」と言われるものに該当すると思われる。最高品質の「羊脂玉」と比較すると、品質は悪いとされる。
(日本で「碧玉」と言えばジャスパーのことであるが、中国では「碧石」と言われるらしい)

ネフライトの原石は、カナダやロシアで大規模に採掘され、資源量は膨大である。
300トンぐらいの原石がごろごろあり、ほとんどが中国に輸出されている。
中国ではとくに美しいグリーンのネフライトが喜ばれ、品質の良いものは非常に高価である。
日本で産出するような石は、グレードが低いと思われるが、それでも透明度の高いものはあるように思う。
中国の人たちはこの石をバングルに加工したりしている。
石自体がたくさんあるので、高価ではない。
中国のお土産屋さんで売っているひすいのアクセサリーは、ほとんどがこの石の、カナダやロシアで採掘されたものである、という。
もちろん中国のウイグル自治区ホータンなどでも産出されるのだが、最近では資源が枯渇し、ホータン産のネフライトはプレミアムが付くようになっている。

以上のように、宝石としてのネフライトは、日本でこそ「油石」と言われてバカにされているが、そのような価値の低いきつね石などではなく、歴とした伝統のある素晴らしい宝石である。
私がこの石を愛し、常に身に着けているのは、この石の「徳」にあやかりたいからでもある。