「富山の百山」になっている、有峰の鉢伏山に登って来た。
2020年に登った鍬崎山の兄弟分とも言える山であるが、登れる時期が残雪期の亀谷からか、7月に有峰林道小口川線が開通してからしかなく、なかなか行けない山だ。
気温が高く、湿度も高かったが、チャレンジしてみることにした。
歩行距離は往復7キロ余り、標高差900mほど、とそれほどきつい山だとは考えられなかったが、実際に登ってみると大違いだった。
まず、最初は崩れかけた登山道にトラロープがかかっている急登を200mぐらい登る。
ここが、今まで経験した道の中でも1,2を争うほどの難しさであった。
ザレていて、泥があり、しかも草が生い茂って足場がよく確認できない。
何度も崖側に滑り落ちそうになりながら登る。
先日の小白木峰の堰堤付近のトラバース道によく似ており、しかも急登だ。
登山道が崩壊している箇所があるが、トラロープが張ってあり、辛うじて通過できる |
急登を超えると、少し緩やかになり、亀谷登山口への分岐に出る。亀谷登山道は現在通れるのかどうかわからない。廃道になりつつあるという話も聞く。
ここを通過すると、鉱山精錬カス堆積場に出る。
この山には昔、銀、亜鉛、鉛などを産する鉱山があり、その選鉱ズリが残っている。
この場所には鉱毒の影響なのか、草が生えない。
すこし石を調べると、多くは磁硫鉄鉱で中にはマラカイトのようなグリーンも見える。
アダム鉱のような「ヒ素」鉱物も混じっているように見えた。
ここにあった亜鉛鉱山は大正時代まで操業していたという。
亀谷鉱山の一部であり、歴史は古い。
神岡鉱山と同じ「スカルン鉱床」で、石灰岩を交代している。
選鉱場後のズリ。草が生えないということは、毒があるね |
さらに進むと、入り組んだ沢のような場所に出る。
だんだん藪が深くなってきて、道が分からない。何回も赤テープ、ピンクテープ、GPSを確認しながら、迷わないように慎重に進む。
水たまりから湧いたと思われるアブ、蚊、ぶよの攻撃が激しい。
時々藪漕ぎする場面も出てくる。
雨が降れば、この道は濁流になるだろう。
ピンクテープを確認しながら、時々藪の中に入る |
単独行のため、しかも携帯電話不感地帯なので、緊張する。ここでビバークすることは絶対に避けたい。
草刈りはされているものの、あまり明瞭な道ではない。
この後何度もルートが分からなくなりかける。
迷路地帯を抜けると、鞍部までいったん下る。
だいぶ眺望が効くようになってきた。常願寺川が見える |
稜線に出るまで、数か所ロープ地帯があるが、たいしたことはない。それよりもだんだん藪が濃くなってきて、うっすらと残る踏み跡を頼りに前進する。稜線は日が照ってきて暑くなってくる。
うっすらある踏み跡 |
何回かピークを越えて、いよいよ山頂に至る。
山頂は広く、広場のようなものもあるが、ガスの為、眺望は利かなかった。
山頂にある岩 |
クマに攻撃されてぼろぼろになっている山頂標識 |
登る前はもっとゆるい山だと思っていた。
しかし、秘境有峰にある山だ、ということをもっと考慮すべきだった。
今の時期、藪が登山道を覆っており、ルートが分かりにくい。
さらに限られた期間しか登れない山であることを考えれば、慎重に準備すべきであったと思う。今回はやや軽率であった。