2023年2月14日火曜日

古代人が勾玉にした素材

 蛇紋岩製勾玉

戦前の論文であるが、和田 千吉, 「異形の勾玉」, 人類學雜誌, 1916, 31 巻, 2 号, p. 43-47によれば、勾玉の素材は硬玉、瑪瑙(斑、紅)、水晶、碧玉岩、琥珀、蛇紋岩、滑石、蝋石、玻璃、金銅、銀銅、土などがあるという。
用途は実用、儀式用、葬儀用などであったと考えられる。

やはり昔から蛇紋岩は使われていた。蛇紋岩は石斤としても使用された。
古代人は様々な石を生活に役立てていた。時代や文化の交代によって使われる素材は変化したと思われるが、きれいな石は威信財として儀式の時に身に着けるものであったのだろう。

蛇紋岩、または緑閃石に付いているタイプのひすい。含有量は低いであろう。

蛇紋岩も美しい石である。光を緑色に透過するのが硬玉翡翠と共通する。
「緑」は生命の色であり、「永遠の生命」を象徴するものであったのだろう。
しかしながら、縄文時代の遺跡から出る勾玉でも、それほどきれいでないものもある。
元はきれいな緑色をしていたにもかかわらず、経年劣化で風化翡翠になって色が失われたのであろうか?

縄文文化は比較的研究されているにも関わらず、文化を担った人々がどのような人たちであったのか、どんな生活をしていたのかは、推測の域を出ない。勾玉の用途、形状についても諸説あり、本当はどうだったのか、よくわかっていない。
文字で残されている資料が無い、ということが理由である。
それらは考古学の領域であり、自分が深入りすることはないであろうが、とにかく遺跡が残っている、ということはそこに我々の先祖が住んでいたということであるのは疑いようがない。

海岸の石を拾い、ああ、古代の人たちもこれらの石たちに何か感じていたんだな、と思うことがある。
その「何か」ははっきりと分からないが、現代人にとって、とても大切なことであるような気がする。