ひすいについて書くと、このブログのアクセス数が急に上がる。
やはりみなさん、「ひすいとは何なのか」について関心がおありのようである。
実際の所、書いている本人ですら、「海岸に落ちているひすいの見分け方」を正確にレクチャーすることはできない。まあ、せいぜいが自分の見解を示すぐらいが関の山である。
インターネットを検索すると、以下のような意見が多い。さまざまな見解があるのだなあ、と改めて思うが、自分の思うところとは相違する部分もあるので、書いておこう。
1.ひすいは表面が滑らか
これについては、流紋岩、蛇紋岩、ネフライトなど、表面が滑らかな石は多い。
曹長岩でも石英でもなめらかである。
たしかにひすいの表面はなめらかであるが、これを基準にひすいを判別することは無理なのではないか、と思う。
やはり実物を見るのが一番であるが、フォッサマグナミュージアムに展示してあるレベルの高品質のひすいが、海岸に残っているかどうかわからない。
あまり高品質のサンプルを基準にしても、そのような石は無い可能性のほうが高い。
2.比重が3あったらひすい
角閃石、透輝石、緑閃石、鉄鉱石、緑色岩などは概して比重が3以上ある。
しかもこれらとひすいは混在していることがある。
逆にひすいが比重の小さな曹長岩と混じっていれば、比重は3以下になることもある。
したがって、これもあてにならない。
3.角の丸いひすいは存在しない
ひすいは硬いので、角が残っていることが多いのはその通りだと思う。
しかし、よく自然の波で研磨されたものでは丸くなっていることもある。
いかに硬いヒスイといえども、長い間研磨され続ければ角が取れて丸くなってしまうこともある。
4.表面がかさかさしているのはひすいでない
波にもまれる期間が短かったり、品質が悪い(これがほとんどであろう)場合、必ずしも高品質のひすいのように、独特のツヤが出ず、表面がかさかさなこともあり得る。
5.表面が割れているのはひすいでない
ひすいには最初から独特のクラックが入ったものがあり、一概に「割れているからひすいでない」とは言えない。
中には人間の力で無理やり割ったような石もある。
いかに硬いといっても、人間が意図的に割れば割れてしまうのだ。
6.結晶があればひすいだ
これが一番の問題である。
一番間違えやすいロディン岩、曹長岩、石英の表面にはきれいな結晶があることが多い。
しかも大小様々の大きさがあり、虫メガネで見ても判別できない。
私も最初の頃は結晶の形で判別しようとしていたが、これは決め手にならない。
ひすいの結晶とほぼ同じように見える石英の結晶もある。
海岸に転がっているひすいは岩石なので、ランダムにさまざまな鉱物が入り混じっている。
このようなものは当然「宝石」にはならない。「宝石」を求めたいなら、ミャンマー産の翡翠を買った方がずっと高品質である。
ただ、1%でも「5億年前に生成された世界で最も古いひすい」が入っていれば満足だ、とするならば、そういう石はけっこうありそうな気がする。