2024年2月3日土曜日

冬の北アルプス また事故発生

 

去年1月、高落場山に登った時の北アルプス方面

冬の北アルプスと言っていいのか、乗鞍岳には一度登ったことがある(11月と3月初旬)。ぎりぎり厳寒期だったのは、3月の時だろうか?

下界と違って空気が薄いのはもちろんであるが、一番問題なのが「寒い」という事である。
標高が高いので、ほぼ確実にマイナス5度以下にはなる。
この状況では、池などは完全に凍り付く。
そのうえ気象の安定しないことが多く、すぐに吹雪いたりする。風が強いと、寒さは特に堪える。「目玉が凍るのでは」と思うくらいの寒さだ。あれは一度経験してみなければわからない。

このブログで「西穂高岳は本当に危険な山だ」の記事が読まれている時には、たいてい西穂高岳で死亡事故が発生した時が多い。
私なりにあの山の危なさを警告しているつもりなのだが、「また発生したのか」といつも思ってしまう。
この記事の中でも述べているように、西穂高岳は「日本の一般道で最も難易度の高い」西奥縦走路の一部であり、特に危険なのは独標から先である。
無雪期でも難易度が高いのに、ましてや積雪期、それも厳寒期に西穂高岳に入ろうとするならば、相当のエキスパートでなければ無理だ。
一般人は決して真似してはいけない。さいきんどうもSNSの影響からか「あの人が出来たんだもの、私にできないはずはない」と思うのだろうか、簡単にこのコースに入ってしまう人が多いような気がする。
夏場でも、このコースは危ない、と思う。何度も登っているが、回数を重ねるにつれて、ますますその危なさを実感する。なので、私はなるべく雪のある西穂には登らない。
なぜなら、険しいからだ。それが一番適切で伝わりやすい表現である。

今回の事故は同行者が遭難したことに気が付かなかったようだが、山頂から西穂山荘まで、気が付かなかったのだろうか?
SNSでつながった「ゆるい」パーティーの場合は、アンザイレンなどもちろんしないし、「誰がパーティーのリーダーであるのか」ということもない。
行ってみれば「全員がリーダー」である、という事になりがちだ。
このような事故が発生した場合、責任は「自己責任」という事になる。
昔なら考えられないような事態であるが、今そういうことが起こっているようだ。

ヨーロッパのように、「ガイド無しでアルプスに登ってはならない」という決まりを作れば、このような事故も防げるだろう。
まあ、険しさはヨーロッパアルプスの比ではないものの、一部でそれに近いような状況を呈する山もないわけではない。せめて穂高周辺で、「ガイド無し登山」を規制してみてはどうだろうか?