2024年12月24日火曜日

ほとんど登れない年



今年は数回しか登山しない年になった。
忙しいことが多く、登山にも海にも行けなかった。

こういう状況でなかった今までが単に暇が多かっただけなのかも。
また、年々気象条件が厳しさを増しており、気持ちよく登山出来たり、海岸に出られたりすることがほとんどなかった。

自然に呼ばれず、人間に呼ばれている感じがする。
まあ、それはそれで良しとしなければなるまい。

だんだん山が遠くなっているようだ。
行きたいと強く思えば思うほど、遠ざかっているような気がする。
しかし、登山はやめたくない。

素のままの大自然に身を投じる行いは、やってみた者でなければ分からないと思う。
なんでそんな危ないことをするのか、と人は言う。
しかし、ずっと仕事をしていても、家にいても、病気になったり死んだりするだろう?

息が詰まりそうな人間社会を飛び出して、無限の広さを見に行きたい。
車で登るのではだめなのだ。やはり自分の足で行かないと。

山が恋しい、とは言わない。なぜなら、そこは危ないからだ。
では、なぜ行くのか?矛盾じゃないのか?と人は言うだろう。
愚かなやつだと。
でも、その「愚かな」行為が、かけがえのない体験と健康を与えてくれるのだ。

2024年12月12日木曜日

十二様 山の神

 


日本の有史以前すなわち、古代の事を述べると憶説になる場合がほとんどだ。
やはり決定的な証拠が存在しないからである。論理実証主義である「科学」では、何らかの考古学的証拠に基づいて、この時代にはこんなことがあったのではないだろうか、と想定する。有史以前の歴史を示すものは、遺跡や遺物である。これらから、考古学者は当時の暮らしがこのようなものであったのではないだろうか、と推定するのである。
また、伝承や口伝資料、古文書に基づいて古代の出来事を想定する方法もあるが、これは本当に事実を伝えているのか、疑わしい場合もある。事実が歪曲されたり拡大解釈されていることは普通にあるからだ。
口伝や伝世史料を用いる場合、それによって論を進めると、矛盾が生じる。
それはもとの史料自体が、当時の人びとの様々な思いを述べているものだから、当然である。
この場合は、とかく思考が脇道に入りやすくなる。ややもすれば、著者の思いを述べただけ、ということにもなりかねない危険性を含んでいる。
ともかく、それらの史料から、山の神がなぜ「十二様」と言われるのかを論じた書物に、吉野裕子『山の神』がある。
これによれば、山の神は陰陽五行説によって、イノシシであることがわかる。すなわち、もとの山の神は蛇であったが、これを陰陽五行の図に配置し、これの正反対側に位置する動物は何かを調べるとイノシシである。イノシシは十二支の最後の動物なので、十二という数が導かれる。なぜ反対側に配置する必要があったのか、と言うならば「以前の山の神とは区別しておく必要があったから」だ、という。
また、『易経』に説かれる坤(こん)は、全て陰を表すから女性を意味する。これが山の神は女性である、という根拠になる、と。
確かに、修験道を実践した山伏、それ以前の陰陽師などは中国から伝わった陰陽五行説に対する知識をもっていた、と思われる。
これらの人々が、山に住んでいた人たちの呪術的な嗜好を満たすために、祭祀を伝えた可能性は大いにあるだろう。
十二という数がなぜ現れるのか、これ以外に説明は難しいと思う。
ただ、これも一つの説であり、実際は縄文時代の大湯環状列石にみられるような日時計の構造が、十二という数の根拠になりえる可能性もある。
古代の事は想像にしかなりえない。あまりにも現代とは時代が遠すぎるからである。
それについて、何か確実な事を言おうとすると、想像が尽きないことになるだろう。
まあ、それが面白いのだ、と感じる人が存在するからこそ、民俗学や歴史学が存在するのだろうが、私自身はそれらに対して、あまり共感はできない。面白いなあ、とは思うけれども。

山の神の祭りは11月7日とか、11月23日などにも行われるが、特定の月の12日の場合が多いという。
特に12月12日が山の神の日である、とされるのも、この陰陽五行説に従う限り、納得できる。

山の神の日には、決して入山してはいけない。
山に入るとけがをしたり、戻ってこれなくなったりなど、いろいろな祟りを受ける、と言われている。

2024年12月1日日曜日

能登半島西方沖地震

 
出典:産業技術総合研究所(2024) 活断層データベース 2024年8月23日版. https://gbank.gsj.jp/activefault/

11月26日以降、能登半島西方沖地震が頻発し、現在までに有感地震で100回以上起こっている。
産総研の活断層データベースを見ると、地震が起こっている領域に断層を示す標識は掲載されていない。
能登半島北の断層帯の続きであるようにも見えるし、そうでない、新たな知られていない断層にも見える。
いずれにせよ、この領域で活動が極めて活発であるということである。

今後、どうなっていくかは分からないが、能登半島で大規模な地殻変動があったばかりであるので、心配である。
震度5以上の地震は、今のところ約半年に一回の間隔を開けて起こっている。
そろそろ活発化する時期である。
今回の地震が、一連のものであることを祈るばかりであるが、仮にそうでなかった場合、北側の断層の続きで、また大きな地震が起こる可能性があるのではないだろうか?

まだまだ安心できない状況である。