先月中旬の奥大日岳以降、山に入っていない。
去年も相当暑かったが、今年はさらに暑い。奥大日岳は2500m以上の山であるにもかかわらず、数年前の1500m級の登山並みの気温だったと思う。
このような状況では、体力の消耗が激しく、それに伴って脱水、熱中症の危険が高くなるのを実感している。
毎年、世界の平均気温が上がっているのは間違いない。このような気温上昇は、われわれ人類が、産業革命以降、多量の温室効果ガスを排出してきたことが原因で起こった、ということが科学的に証明されている。
一部で「そんなことは無い、たまたま太陽活動や周期の関係で気温が上がっているだけだ」という主張をする人もあるようだが、それらの周期を勘案しても、人間活動の影響は間違いなく存在すると結論されている。
しかし、温室効果ガスを排出しないようにすれば良いとは言ったものの、それでは人間の経済活動に支障が出るのは間違いない。経済を停滞させるわけに行かないとすれば、この気温上昇を受け入れ、それに適応していくしかない、ということになるだろう。
気温の上昇によって、山の環境も著しく変化している。
今まであった植物がなくなったりしている。
おそらく、これに伴って、今までそれらを食料にしてきた動物たちも、住処を追われたりしているのであろう。また、いままでいなかったシカ、イノシシの増加によって、食い荒らされる被害も多い。
これに関して、最近一番話題になっているのが「ツキノワグマ」と「ヒグマ」であろう。
山の食料が不足しているので、里に下りてきて、人間の食料を狙うようになった。
そして突然人に出会って、人間を襲う。
また、山に居るクマも、えさ不足によって凶暴になっているらしい。登山道でも人が襲われている。
山に人が多く入るので、クマは人間に慣れている。おろかなことに、野生のクマに餌を与える人間もいるらしい。人間の食べ物は自然界の餌とは比較にならないくらい高栄養なので、クマにとっては非常に魅力的な食物である。けっして与えてはいけない。
人間は自然にとって、とても悪い生き物だと思う。
自然がバランスを崩すほどになっているのに、まだそれを止めようとしないのだから。
怒った自然が、私のような人間の仲間である登山者を、快く受け入れてくれるだろうか?
以上のような理由で、この夏は登山を中止しようと思う。